可愛らしさと無邪気な暴力性は無理なく同居する。それはおそらく生物がこの世に誕生して以来の倣いなのかもしれないが,まさに人間の赤ちゃんに象徴されるその特徴が,小さな木製生物「ベビー・グルート」に集約されている。予告編を観たときから木,じゃなかった,気になっていたグルートの造形が,とても良い出来映えだ。精密かつ巨大なオブジェを具体化する方向に進化していたコンピューター・グラフィックスの,もう一つの可能性を示して観客を魅了する。クライマックスのカタルシスは,愛すべき凶暴な「木っ端」のおかげだ。
苦手なマーヴェルものなのだが,このシリーズだけは例外だ。実際,第2作となる本作も「MARVEL」ものの例に漏れず,途中,主人公のピーターと父親(カート・ラッセル)の確執に関する件で失速気味となるのだが,上述したグルートを始めとするチームのキャラクターがシンプルかつ鮮明に色分けされていることで,単なるアクションの羅列に終わるという陥穽から辛うじて逃れている。
加えて本作では,マイケル・ルーカーという,アメリカ犯罪映画史上の重要作「ヘンリー」で衝撃を与えた悪役専門役者を,(第1作からの連続出演ではあるが)物語の鍵となるキャラクターに起用することで,チームにより厚みを与えることに成功している。こういった何気ない技を簡単に繰り出せるところに,ハリウッドの役者の層の厚さ,底力を感じる。
そして何と言っても音楽。前作に引き続き70年代という,ロックの黄金期である60年代とパンク・ニューウェイブ以降に挟まれた,比較的停滞期と位置付けられる時代に拘った選曲は,前作以上に狭いニッチを意識したものとなっており,かなり楽しめる。個人的にはエンディングに流れるパーラメントの「Flash Light」に悶絶したが,作品的にはサム・クックの「Bring It On Home To Me」が流れる場面で,ピーターが憎からず思っているガモーラ(ゾーイ・ソルダナ)に「サム・クックだぜ,踊らない手はないだろう?」と誘うシーンが白眉。リドリー・スコットの「オデッセイ」もそうだが,宇宙ものと70年代ヒット曲の親和性の高さを見ると,未発掘の鉱脈はまだまだありそうだ。
ソニーのカセット・ウォークマンが潰されるシーンだけは悲しかったが,後続作でも何とかカセットテープにこだわり続けて欲しい。
★★★☆
(★★★★★が最高)
苦手なマーヴェルものなのだが,このシリーズだけは例外だ。実際,第2作となる本作も「MARVEL」ものの例に漏れず,途中,主人公のピーターと父親(カート・ラッセル)の確執に関する件で失速気味となるのだが,上述したグルートを始めとするチームのキャラクターがシンプルかつ鮮明に色分けされていることで,単なるアクションの羅列に終わるという陥穽から辛うじて逃れている。
加えて本作では,マイケル・ルーカーという,アメリカ犯罪映画史上の重要作「ヘンリー」で衝撃を与えた悪役専門役者を,(第1作からの連続出演ではあるが)物語の鍵となるキャラクターに起用することで,チームにより厚みを与えることに成功している。こういった何気ない技を簡単に繰り出せるところに,ハリウッドの役者の層の厚さ,底力を感じる。
そして何と言っても音楽。前作に引き続き70年代という,ロックの黄金期である60年代とパンク・ニューウェイブ以降に挟まれた,比較的停滞期と位置付けられる時代に拘った選曲は,前作以上に狭いニッチを意識したものとなっており,かなり楽しめる。個人的にはエンディングに流れるパーラメントの「Flash Light」に悶絶したが,作品的にはサム・クックの「Bring It On Home To Me」が流れる場面で,ピーターが憎からず思っているガモーラ(ゾーイ・ソルダナ)に「サム・クックだぜ,踊らない手はないだろう?」と誘うシーンが白眉。リドリー・スコットの「オデッセイ」もそうだが,宇宙ものと70年代ヒット曲の親和性の高さを見ると,未発掘の鉱脈はまだまだありそうだ。
ソニーのカセット・ウォークマンが潰されるシーンだけは悲しかったが,後続作でも何とかカセットテープにこだわり続けて欲しい。
★★★☆
(★★★★★が最高)