子供はかまってくれない

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サッカーアジア杯2011 日本代表VS韓国代表【2:2(PK3:0)】ブラジルで共に世界を驚かすために

2011年01月26日 21時28分31秒 | サッカーあれこれ
素晴らしいゴールだった。相手のディフェンスを引き付けてから,車ドゥリの背後のスペースに絶妙のパスを出した本田。ボールが出てくると信じてトップスピードで縦に走り,中の状況を見て落ち着いてクロスを入れた長友。そしてファーからニアにするするとポジションを変え,背後から悪質なタックルを受けながらも,しっかりとクロスに合わせた前田。この3人のコンビネーションは,角度を変えて,何度でも見直したくなるような美しいものだった。

2点ともセットプレーでゴールネットを揺らした韓国に比べると,流れの中で創造性を発揮して,かつ複数の選手が点で呼吸を合わせたこのゴールの価値は益々際立つ。
南アフリカから半年を経て,メンバーも何人か入れ替わり,チーム全体の空気が若返っていく最初の段階で,こんな華麗なフィニッシュが生まれて良いものだろうかという気がしないでもないが,平均視聴率35%という驚異の視聴率が証明するように,このチームには人を惹き付ける,言葉では上手く説明できない何物かが存在しているようだ。

だが,試合全般を振り返ってみると,韓国の強さとしぶとさがじわじわと甦ってくる。
特に後半の20分過ぎから,延長の大部分にかけては,明らかに韓国の時間だったと言って良いだろう。トップのイを下げて,クを最前線に上げたところからセカンドボールを拾われ始め,これに合わせてDFがじりじりとラインを下げてしまったことで,コンディション的にはより厳しいはずの相手にペースを握られてしまった。
選手交替を意図的に遅らせたのは,延長戦を見据えたザックの戦術だったのかもしれないが,細貝が入った後に取った2列目の役割分担がはっきりしていない4・3・3は,はっきり言ってほとんど機能していなかったように見えた。フィジカルで負けていたのは,当たりだけではなく,体力的に極限にある時の走力とボールに対する一瞬のスピードもだった。

個人の技量でも,パクの凄さは正札通りだったし,PKの時に日本人に対して猿の真似をした(観客席で振られていた旭日旗に対する抗議だったらしいのだが…)キ・ソンヨンも,サッカーの技術に限って言えば,セルティックで中村俊輔のポジションを継いだだけあって,正確なキックとバランスで際立っていた。
最後に出てきて,FKのターゲット役を完璧にこなして同点弾を演出した20番のでかいFWも,悔しいけれども今の日本代表にはいないとびきりのオプションだった。

それでも日本は,川島のドヤ顔と,キッカーの落ち着きで,見事にPK戦を乗り越えて見せた。そこには明らかに南アフリカのパラグアイ戦のPK戦で獲得した経験値が生きていた。チームとして。経験を共有するということは,こいうことなのだと改めて思い知らされたように感じた。

ということは,10代の選手が多く在籍している今の韓国代表も,昨夜の経験を必ずや血肉化するはずであり,それによってまた一回り大きくなった韓国と当たることで,更に日本も居ながらにして世界レヴェルの経験を積んでいくことも可能になるはずだ。
こういう形で切磋琢磨して,2014年のブラジル大会で世界を驚かす。3年後,この試合がそういうシナリオの第1章だったのだ,と振り返ることが出来ますように。


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