Music Mania

No Music No Life

スローバラード

2014年04月06日 | 邦楽
RCサクセションの「スローバラード」という曲がある。
最近、この曲をSuperflyの越智志帆が歌ってるのをユーチューブで聴いたのだが、これが実に良かった。
奥田民生やUAの同曲カバーもいいが、越智志帆のパワフルなボーカルは、この曲の奥に隠された悲しみが沸点に達し、想いを押さえることが出来ずに爆発しているかのようだ。
後半のギターソロやサックスソロも素晴らしい。

Superfly「スローバラード」


この曲は歌メロの良さもさることながら、J-ロックのスタンダードたらしめているのはこの秀逸な歌詞だろう。
1976年に忌野清志朗が書いたものだが、なかなか深い内容だと思う。


昨日はクルマの中で寝た
あの娘と手をつないで
市営グランドの駐車場
二人で毛布にくるまって

カーラジオからスローバラード
夜霧が窓をつつんで
悪い予感のカケラもないさ
あの娘の寝言を聞いたよ
ほんとさ 確かに聞いたんだ

カーラジオからスローバラード
夜霧が窓をつつんで
悪い予感のカケラもないさ
僕ら夢を見たのさ
とってもよく似た夢を


ある男女が一夜をクルマの中で過ごした、というただそれだけの内容だが、聴けば聴くほど考えてしまう歌詞だ。
聴く人によって解釈の仕方はいろいろあると思うが、僕はこう考える。

おそらく何か事情があって、本当は一緒にはなれない二人が、逃げるようにクルマの中でひと時の幸せな一夜を過ごした。
そして朝方、男はラジオから流れるバラードを聴きながら、この幸せがずっと続けばいいと思っている。
しかし、「悪い予感のカケラもないさ!」と叫ばなくてはならないほど、暗雲が立ち込めているのだろう。
悲劇の予感の中、今だけは彼女の寝言をきき、同じ夢をみる。

歌詞のどこにもマイナス要素がないのに、これだけ内に秘めた悲しみを感じさせるというのは、かなり上手い作詞だと思う。

オリジナルのRCサクセションバージョンは、忌野清志朗特有のアクの強い歌いかたで、シミジミと、ときには泣きそうな声で歌われる。
この味は彼にしか出せないものだ。
ミスチル桜井のバージョンはいい線いってるけどね。

忌野清志朗「スローバラード」

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