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No Music No Life

少年H

2014年08月24日 | 日常
テレビネタ。
最近はテレビを見ないことがカッコいいことらしいが、僕は毎日テレビを見ている。
このブログでも、テレビからのネタは多い。

で、8月のテレビ番組といえば、毎年戦争関連のものが多く放送される。
今年もいくつか放送されたが、視聴率はかなり悪いらしい。
こういうのは代々語り継がなければいけないと思うが、関心のない人が多いのだろう。

今月の戦争関連番組の中で、僕がとくに良かったと思ったのは、昨年劇場公開された「少年H」だ。
水谷豊と伊藤蘭という実際の夫婦が夫婦役を演じて、戦前から戦中、戦後までの「神戸に住む、洋服屋の家族」が描かれている。



外国人居留地に住む欧米人相手に、高級洋服を仕立てる少年Hの家族は、平均より上、今でいう中流の上の生活をしている。
当然、お客さんであるアメリカ人やイギリス人と仲がいい。
その影響もあってか、家族はクリスチャンだ。
やがて戦争が始まる。
アメリカ人と取引していた父は、スパイ容疑で逮捕される。
息子である少年Hは、学校でいやがらせをうける。
釈放された父は家族を守るため、自分を曲げろ、という。
生き残るためには、踏み絵を踏めという。
少年Hはそのことに理不尽を感じながらも、成長していく。

戦争を扱う映画でありながら、戦闘シーンは皆無、そして人が死ぬ場面も最小限に抑えられている。
そして、主人公家族は全員生きて終戦を迎える。
単にお涙ちょうだい映画にしていないところがミソだ。
それでも、ジワジワと忍びよる異常な政治体制、一般国民はおそらく何が起こっているのかよくわからないまま、流されていく様が上手に表現されていると思った。

映画の後半、少年Hは母の行動に異を唱える。
戦後の混乱のなか、貧しい人に米や食事をわけてあげる母に対し、「なんで他人にそんなことするんや」と激怒するのだ。
この怒りは深い。
これは大人たちに対しての少年の怒りなのだ。
戦争を起こし、罪のない人を捕らえ、街を焼け野原にし、新聞はウソばかり書く、そんな大人たちへの怒り、僕はそう感じた。

この映画には原作があり、作者は妹尾河童氏で、彼の実体験を元に書かれたといわれる。
原作も読んでみたいと思った。
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