Music Mania

No Music No Life

ポリス「見つめていたい」

2014年01月11日 | 音楽
ギター名曲シリーズ第2弾
今日紹介するのはポリスの大ヒット曲「見つめていたい」だ。

アーティスト:ポリス
ギタリスト:アンディ・サマーズ
アルバム:シンクロニシティー
発表:1983年



トリオ編成のロックバンドにおいて、ギタリストの役割はとても大きい。
たいていの場合、ディストーションの効いたギターリフで音の壁を構築するのが常であるが、ポリスの場合は少し違う。
あえて隙間だらけのサウンドなのだ。
とくに初期の頃は、スタジオアルバムであっても極力オーバーダビングを廃したシンプルでスカスカなアンサンブルだった。

83年発表の「シンクロニシティー」の頃になると、さすがにシンセなども使うようになり、初期の頃のようなサウンドとは違うのだが、それでもシングル「見つめていたい」を聴くと必要最小限に留めているように思う。
それにしても、このアレンジのセンスの良さはどうだろう?
ただ単にコードのアルペジオを弾いているだけだが、音使い、音の並び、音色、ミュートのかけ方、どれも文句のつけようがない。
ウィキによると、アンディー・サマーズはバルトークの影響でこのパターンを思いついたらしいが、完璧といっていい。
もし、この曲のギターが、ディストーションギターだったり、ファンキーなカッティングだったら、ここまで名曲になっていなかっただろう。

The Police - Every Breath You Take


僕は数年前、再結成ポリスのライブを見に行ったことがある。
会場はドームだったが、サポートメンバー無しのトリオ演奏で全ての曲を演奏したのは、さすがだと思った。
「見つめていたい」は最後のほうで演奏したのだが、アレンジがスタジオ版とはずいぶんと違っていた。
そのときは気がつかなかったのだが、今当時のライブをyoutubeで見ると、アルペジオのパターンが違う。
聴き比べるとわかるが、やはりオリジナルのスタジオバージョンのアルペジオには敵わないな…。

The Police - Every Breath You Take (live Japan 2008)

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ピエリ守山

2014年01月05日 | 日常
最初に断っておくが、僕は人の不幸を面白おかしく書く趣味はない。
しかし、今日の話題である「ピエリ守山」については、あえて書くことにより、少しでも注目を浴びればそのほうがいいと思う。
一番問題なのは忘れられること。
理由は何であれ、人々の目が向いていたほうがいいのだ。

すでにご存知の方もいるだろうが、滋賀県守山市にある大型ショッピングモールがちょっとした話題になっている。
その名は「ピエリ守山」、2008年にオープンした滋賀県最大のショッピングモールだ。
約200もの店舗が入り、オープン時は数万人の客が訪れたという。
オープンから5年半、もちろん今も営業中だ。
今年も元旦から営業している。

お正月の大型ショッピングモールはどこもかしこも大盛況で、多くの人が競うように訪れるが、ピエリ守山だけは例外である。
おそらく正月中に訪れた客数は、数人から多くとも数十人程度だと思われる。
なぜなら、オープン時200店舗あったテナントが、今やたったの4店舗しかないからだ。
それも、ペットショップ、JTB、カフェ、宝くじ売り場の4つだ。

なぜこのような状態になっているかというと、いくつもの不運が重なり、どんどん店が撤退したからだと言われる。
まず、華やかにオープンした2ヵ月後、クルマで30分ほどのところにイオンモール草津がオープン、人口の多い草津市や大津市の客が全部とられた。
そしてほぼ同時期にリーマンショックで、世間は大不況期に入り、当然客足は大きく減少する。
2009年夏以降になると景気も回復してくるが、今度は同県竜王に三井アウトレットパークがオープンする。
ついでに、同じ守山市の中心街には「ららぽーと」というショッピングモールが以前から存在し、何も交通の便の悪いピエリまで行く必要がないのだった。

原因はそれだけではなく、ピエリ自体にも問題があった。
僕は2010年頃ここに行ったことがある。
この頃はまだ多くの店が入っていたが、客数は混雑とはほど遠いものだった。
素直に感想を書くと、何もかも田舎臭いというか時代遅れというか、センスがなかった。
駅前の旧市街の商店街をそのままショッピングモールに移したような感じで、若い女性が注目するような店はなく、ただただムダに広く、ムダに店舗数が多い。
また、店の並びも悪い。
イオンモールのように真ん中に通路があり、その両側に店舗が並んでいるのだが、それが2列になっていて、買い物の効率がとても悪いように感じた。
僕はこのとき、ピエリを出てから、イオンモール草津へも行ったのだが、その差は歴然だ。
さすがイオンというか、やはり業界ナンバーワンは違う。
店の並び、各種デザイン、入っている店舗、ブランド、これは逆立ちしてもピエリは勝てないと思った。

生ける廃墟としてマニアの注目を集めるピエリ守山だが、館内は暖房が効き、床にはゴミ一つなく、トイレは清潔で、無人のエスカレーターが稼動しているという。
こうしている今も赤字額が風船のようにふくらみ続けていると思うが、再生する日は来るのだろうか。

公式ホームページ

「廃墟モール」客がいない初売り
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ピンク・フロイド「タイム」

2014年01月04日 | 音楽
あけましておめでとうございます。
本年もよろしくおねがいします。

さて、今年から始まる新シリーズ、それは「ギター名曲シリーズ」だ。
これはギターという楽器が大きな役割を果たしているロックやポップスを紹介しようという試みで、名ギターリフ、名ギターソロ、名アレンジの名曲を上げてみたい。
以前書いた名盤シリーズのような1アーティスト1曲ではなく、何度も同じギタリストやバンドが出てくるのもOKとする。
また、ソロ歌手のバックで弾いている無名のギタリストも登場するかもしれない。

まず第1段はピンク・フロイド「タイム」だ。

アーティスト:ピンク・フロイド
ギタリスト:デイヴ・ギルモア
アルバム:狂気
発表:1973年



ピンク・フロイドが1973年に発表した「狂気」はプログレッシブ・ロックの名盤とされ、記録的な売り上げを誇る。
アルバム全体が一つの組曲のような構成になっており、今回紹介する「タイム」はその前半に位置する。

この曲は、歌そのもののメロディはいたって単純だと思う。
そのシンプルさを補っているのが、非常にすぐれたアレンジと深い歌詞だ。
まず歌詞を読んでいただこう。


倦怠にまみれた一日を刻む時計の音
お前はただ無駄に時間を浪費していく
小さな部屋を怠惰に寝そべったままで
「導いてくれる何か」をひたすら待っている
妄想と自慰に飽きて
尚も家の中から外の雨を眺め続ける日々
若いお前にとって人生は長い
一日を無駄にしても時間は有り余る

ある日、10年が過ぎ去っている事に気付く
いつ走り出せばいいのかなんて
誰も教えてはくれなかった
お前はスタートの合図を聞き逃していたのだ

太陽に追いつこうとひたすら走る
地平線の向こうへ沈んだかと思った太陽は
お前の背後から再び姿を現わす
相対的に太陽の位置は一切変わっていない
お前だけが年老いていく
やがて息は切れ 刻々と死に近づいていく
「もっと言いたい事があったはずなのに・・・」

毎年毎年、一年が短くなる
契機など一向に見つかりそうにない
お前の人生計画はすべて失敗に終わり
予定表はページ半分になぐり書かれた線と化す
お前は英国紳士らしく静かな絶望に身を任せるだろう
こうして時間は過ぎ、この曲も終わりを迎える
「もっと言いたい事があったはずなのに・・・」



僕ははじめてこの歌詞を読んだとき、まるで自分のことを言われているようで怖くなったものだ。
歌のバックを支えるバンド・アンサンブルは、決してボーカルメロディを邪魔をせず、シンプル且つ抜群のセンスでネガティブな歌詞を支えている。
そして3分15秒あたりから始まる、1分30秒に及ぶギターソロ、これが実に顕著に歌詞世界を表現していると思う。
気だるさと、時間からの取り残され感、何かをやらねばならないが何をすべきかわからない絶望感、これらが決してテクニックに頼ることなく、うねるようにギターが叫ぶのだ。
ギターの音色もいい。
空間の中に響き渡るような広がりをもって、「オマエは時間をムダにしてはいないのか?」と訴えかけてくる。

プログレ系のギタリストといえば、ロバート・フリップやスティーブ・ハウのような、ジャズやクラシックの影響が強いイメージがあるが、デイヴ・ギルモアには当てはまらない。
ブルースをベースにした、極めてロック・ギタリストらしいフレーズを弾く人だと思う。

Pink Floyd/Time



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