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 父の紫陽花のひと

2018-07-12 18:44:48 | 日記

今日でお中元やら母へのお悔やみへのお返しなどが一段落した。お世話になっている方が多いことを痛感する。夕方になると冷たい風が部屋にそっと忍び込んでくる。心地よい。

京都の退蔵院で見た、西条八十の詩が心に残る。「今ここに こころとなりて 永遠に寄り添い眠る」「こころとなりて」・・・・。深い言葉だと思う。父が西条八十に師事して詩を書いていたらしい。いわゆる、大正ロマンのイメージだ。残っていた写真に、矢羽のきものを着た素敵な女性もいた。ベレーか被った文学青年だった父の姿もあった。

あれは中学の頃だろうか、父の俳句が文京区の俳壇で賞を取ったのは。そのとき、紫陽花の句も読んでいて、紫陽花に昔の人を思い出すというものだった。父はずっと人妻を愛していたらしい。(結婚するまで)それがどうも八十さんの歌の集まりの人らしい。なんでそんな話を父が私にしたかはわからない。母は知らないらしいし、知ったところで、彼女の自信は揺るがなかったと思う。父は、弟が軍隊で自死したので、戦後、結婚したのではないかと思う。それまで何回もお見合いをして、断っていたという。会社もやめ、祖父の仕事を継いだらしい。母は美人だし頭もいい人だった。9歳も年下だし、父は祖父母のためにも全て捨てて結婚したのかもしれない。

「短き時を愛に生きし二人」という八十の詩の二人は妻の春子さんとことだと思うが。今、父の話してくれた紫陽花の人ことを思い出した。音楽も文学も実に博識だった父。紫陽花の人の話、聞いていてよかった。

 

 

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