朝、プラスチックごみを捨てに出た。雲ひとつない青空が広がっている。青空を背景に近くの公園の桜のつぼみがほんの少し大きくなった。寒さの中にも春の足音が聞こえる。今年は春が待ち遠しい。
固定電話はほとんど使わないのだが、ないというわけにもいかない。何年使ったのかわらないが、親機も子機も寿命のようだ。何とか騙して使っているが、明日親友から電話が入るのに、長電話には耐えられそうにない。いよいよ買いに出かけた。電話機売り場はほんの僅かスペースだ。電話機を取り替えるのだが、古い電話機が捨てられない。母の留守電が入っているからだ。「まっちゃん、あっ、お母さんだけど・・・」と小規模多機能住宅から帰ってくると電話をくれた。元気だからという知らせが入る。いつも7時ごろだった。だからその時簡には家にいるようにしていた。時々、電話したのを忘れて再度かかってきた。いまもまだ私を縛っている。
声が捨てられない。さて、テープレコーダに残しておこうか。普段聞くのではないが、消すことができない。つまらない?ものが捨てられないことがある。お土産に頂いたお菓子の箱、お寺の拝観料のチケットの切れ端、古くなったデートのときに急いで買ったハンカチ、そんなものが思い出の断片として残る。洋服もそうだ。あの日着たワンピースとか晴れの日の1着がそうだ。
思い出なんてもっと捨てられない。それがお互いに覚えていたとなると・・・。いつもまで覚えていられるかわからないが、そんな思い出があることが嬉しい。