夕方、美容院に髪を切りに行った。1日の終わりにゆったりできる時間だ。私の生活からしたら、シャンプーや髪を染めてもらうことは贅沢なのだが、この心がほぐれる時間は大事にしている。あとはケチケチ生活になる。大事な人を亡くした喪失感を昨日書いたが「日薬」というように、年月が喪失感への「薬」となってくる。(人によって違うだろうが)母がいないというさびしさは、少しずつ癒えてきた。「もっと〇〇したかったね」という想いは残るが、さびしさは消えていく。
この時期になると、宮本輝の「錦繍」を思い出す。この頃感じるのは、ひとが出遭うということは、やはりなにか理屈ではない力があるように思える。縁あるものだから、結びつき結婚したのだろう。それは事実のように思う。まだ、まだ通念的な結婚観は日本には根深く残る。
ただ、先日出会ったカップルは、同じ分野(音楽)で活躍し、夢を持っている二人だった。自分たちの進む道を理解し合えるということで「いい出会い」だと言っている。周囲は、つい二人に「それで結婚するの?」と尋ねる。でも、二人にはあまりピンとこない話題のようだ。一緒に住むとか、そういうことよりも一緒にレッスンをし、それぞれが活躍の場を見つけていくことが大事なのだろう。もちろん、二人はけんかをしても仲がいいし、一緒にいることに安心を感じている。
そういう関係に対しての理解は、まだまだ少ないように思う。「生き方」を共有していけるようなカップルをうらやましいと思う。二人に会ってから私の心はおだやかになった。夢をもらったのかな。