屋根から今にも落ちてきそうな雪が垂れ下がっています。時おり、ドスーンと音がします。雪どけの音が絶え間なく続きます。陽ざしが戻りました。そこにほんの少しだけ春が潜んでいました。ちいさなちいさな春の訪れです。
こころに残る喪失感の記憶は、自己評価を低くするだけでした。ブログにも書きましたが、高校1年の9月に、都内から埼玉のド田舎に引っ越しました。家は3分の1くらいになり、大好きだった庭もなくなりました。家の仕事の関係のトラブルでどうしようもないことだったようです。弟と私はそれでも通っていた都内の学校に1時間半以上かけて通いました。弟は2学期でギブアップして、地元の中学へ。私はつらい通学に耐えました。その喪失感を私はずっと引きずっていたようです。特に、近所のお友達がいなくなり、大事な本や子供のころの人形やらも全部庭で焼かれてしまいました。高校から帰ると、ひとり自転車で川の土手に行ったものでした。自信を無くした暗い心でした。
何があれば私は元気に歩きだせたのでしょうか。それは家族で「みんなで頑張って、もう少し広い家に住もうね」とかいう励ましの言葉でした。父も母もなにも言わず「この家はおじいちゃんのお金だから・・・」としかいいません。その通学がいかに大変だったか、父母わからないようでした。(自営業でした)自分の力ではどうにもならないことでも、先に希望が持てたなら、弟も私も二人で家を出ることよりも先に家族が住める家のことを考えた気がします。何事にもそういう意味で劣等感が強くなりました。そんな昔のことが、急にフラッシバックするのでした。私ではだめだと。
ほんの少しの春の光が、捨てられたババ猫みたいな私に希望を与えてくれました。そんなこと言っちゃいけないよと。ふんわりと生きればいいのよというお友達の言葉を思い出しました。