太平洋のまんなかで

南の島ハワイの、のほほんな日々

子供ごころ、大人ごころ

2012-04-03 09:47:43 | 日記
小学校4,5年の頃だったか、男子女子とりまぜて数人で、山に登った。

整備されている山道を行くのではなく、山の中を道なき道を探しながら頂上まで行くという探検隊だった。

親に話したら到底許してもらえなかったと思うから、私も含めて皆、親には内緒の探検だったに違いない。

懐中電灯、草を刈るナタのようなもの、マッチ、チョコレートなど、必要なものを皆で相談して決め、役割を決めて持ち寄った。

昼間なのに懐中電灯やマッチが必要かどうか、誰も疑わなかった。

漫画の読みすぎだったろうけれど、そういう準備をしているだけでワクワクした。



その山は学区の中にあって、年に1度の持久走のコースにもなっており、子供達には馴染みのある小さな山だ。

山の麓には住宅が迫っていたから、どこからでも登れた。

登り始めると、思ったように草が刈れず、払っても払っても草が顔や足に覆いかぶさってくるし、想像以上に歩きにくいわで、最初は元気いっぱいだったのが、次第に無口になり、黙々とひたすら上を目指して登った。

視界が開けてきたかと思うと、いきなり見覚えのある山道にひょっこりと出た。

私達は歓声をあげながら走って、山頂近くの原っぱで、用意してきたチョコレートやお菓子をもりもりと食べた。



ただそれだけである。

大人には、なぜそれが楽しいのかわからないようなことが、子供には楽しいものなのだ。

誰でも子供だった時代があるのに、大人になると楽しかったことを全部忘れてしまう。



先日、姉一家がハワイを訪れた際、9歳の甥が数日目に不機嫌になった。

車での長い移動も、車窓の景色も、お土産を買うのも、絶景を見るのも、レストランに行くのもつまらない。

ある程度長く滞在できるなら、大人と子供が譲り合うこともできただろうけれど、なにしろ丸4日しか動ける日がないのだ。

姉は理詰めで納得させようとし、義兄は甥の肩を持ちながらも中立でいようとする。

あそこもここも行きたいし、となれば移動も長くなり、お土産を買う時間も欲しいし、叔父叔母は私達を招待してくれるし、夫の両親は一緒に食事したいし、

でもきっと、甥にとってはガイジンに囲まれた食事も、買い物の待ち時間も相当つまらないに違いなかった。



夫の甥達はすっかり大人のようになってしまい、私のまわりには子供がいないので、子供が何が楽しいのか想像がつかない。

つい大人の都合に子供をつきあわせてお茶を濁そうとしてしまう。

子供に大人ごころを理解してもらうほうが楽だから。

子供ってめんどくさいな、と思ってしまうのは、私が大人ばかりの生活に慣れ過ぎている、勝手な大人だからだろう。




甥が不機嫌になってくれたおかげで、私は自分が子供だった頃の子供ごころを思い出した。

今の甥よりも、もうちょっと大きかったはずの私が、そんな探検ごっこで楽しかったのだ。


というわけで、最終日は「甥の日」ということにして、彼のやりたいことを全部やる日にしたのだった。

ハワイは楽しかった、と思ってもらいたいもの。

子供ごころと大人ごころがうまく折り合うことは、まず難しいかもしれない。

大人は子供に戻れず、子供は大人になっていないのだから。



そしてその後、私は私が覚えてもいない時代の「子供ごころ」をたっぷり味わうことになるのだった。







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