太平洋のまんなかで

南の島ハワイの、のほほんな日々

ベビーシッター

2012-04-17 10:38:41 | 日記
少し前になるが、夫の友人から、緊急のベビーシッター要請があった。

同居している母親が長期旅行中で、何かの時に頼むベビーシッターも緊急のために予定が合わず、知人に電話をしまくり断られ続けた挙句だった。

夫はその日、仕事を早く切り上げて、金曜の夜6時から9時半まで3歳の息子をみることになった。


友人は「感謝感謝、大大感謝!」と両手をすりあわせるようにして私達を迎えた。

大人なら誰でもいいというわけでもなく、子供がなつく大人は限られているという。


子供は動物のように、自分を好きな人とそうでない人を見分ける能力があると思う。

そして大人には、子供が得意な人とそうでない人の2種類いると思う。

夫は典型的な前者で、子供が日本人だろうがアメリカ人だろうが、たちまち人気者になり、数人の子供が身体によじ登って「人間ジャングルジム」になる。

私は後者で、子供が嫌いではないと思うのだけど、どう対処していいかわからないというのが正直なところ。


3歳の子供は、既にパジャマになっていて、7時半に寝かせるまで、夕食を食べ、歯を磨かせるのが私達の使命だ。



夕食は子供が好きな巻き寿司で、身をほぐした蟹とキュウリ、アボガドが具になっている。

彼はそれを最初はお箸で食べていたが、でもすぐに手でつかんで上に放り投げ、そこらじゅうにばら撒く。

そのうちパジャマを全部脱いで裸になり、家中を走り回る。

おもちゃのヘリコプターを、わざとテーブルの脚にぶつける。

この小さい身体の、いったいどこにこんなエネルギーがあるのか不思議なくらい、子供は身体中を使って遊び、食べ、走り回り、私たちは追い掛け回すのに必死になる。

「あのお寿司、何か興奮剤のようなものが入ってたんじゃ・・・?」と思うほどだ。

床にばら撒かれたお寿司の残骸をかき集める私の頭には、蟹の身がこびりついており、素っ裸の子供が盛大にお寿司で遊んでいる。



ようやく落ち着き、服を着せて、歯磨きタイム。

歯磨きに要する時間だけ柄の部分がピカピカと光る歯ブラシを2本持ち、電気を消して上手に磨く。

おばあちゃんや、ママのバスルームから歯磨きを持ってきて、何度も足しながら、全部飲み込む・・・・・(いいのか?)

寝室で、紙で作った王冠を全員が頭に乗せ、4冊の本を読み(夫が)、その間に湯たんぽをレンジで温め、これで寝るかと思いきや、

「お寿司がくっついて汚れたから」

と言ってパジャマを着替え、ようよう8時少し前にベッドに入った。



「子供って育てるの大変なんだねえ・・これが毎日でしょ。特に彼が大変なのかなあ」

髪ボーボーの私が言うと、

「彼はただ楽しいってことを現したいだけだよ。ちゃんと寝たし、大変だけど良い子だと思うよ」

とTシャツの襟をヨレヨレにした夫が言う。互いに紙の王冠を乗せたまま。



読書をしていると、友人が帰宅した。

「どうだった?お寿司、そこらじゅうすごかったでしょ?」

やっぱり普段からそうなんだ・・・・・



3歳児の子供ごころは、甥の9歳児以上に理解不能だ。

だけど、生きてて楽しいという思いに満ち溢れていて、罪も悪もみじめさも知らず、世界の中心は自分なんだという絶対的な自信と喜びが、私を圧倒する。

過ぎたことで自分を傷つけることも、

まだ来ぬ将来のために心を暗くすることもない。



私もかつて、同じ場所にいたはずなんだけど。

その場所から離れて、そしてまた「今この瞬間を生きる」を目指そうとしているんだなあ。

子供に教えられることはあまりに多い。






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