太平洋のまんなかで

南の島ハワイの、のほほんな日々

「夢をかなえるゾウ」

2013-04-25 18:40:07 | 本とか
インドに、ガネーシャという神様がいる。

ゾウの顔を持っているが、元は人間だったはずだ。


主人公である、若いサラリーマンが、朝目が覚めると枕元にガネーシャがいた。

というところから話が始まる。


大学を出て、それなりの会社に就職したものの、何かが違う、ビッグになりたい、

変わりたい、と悶々としている主人公に、ガネーシャは、夢をかなえてやると言う。

しかし目の前にいるへんてこな生き物に疑いを隠しきれない。



「で、どないするねん?」

「どないする、とおっしゃいますと?」

「いや、せやから。話聞いとった?自分、変わりたいの変わりたないの、どっち?」



この神様、こてこての関西弁をしゃべる。

ニュートンくんや、エジソンくんなんかもワシが育てたんや、と鼻息も荒い。

うっかりガネーシャと契約をしてしまった主人公。



毎日、ガネーシャから課題が出る。

それを確実にこなしてゆくと、いつのまにかビッグになる、というのだが、

一筋縄ではいかない神様の性格が、主人公を悩ませ、怒らせ、呆れさせる。


しかしこの、意思が弱くて目立ちたがりで、食いしん坊でわがままな神様が、

ぐっとくることをたくさん話してくれる。



「世の中のほとんどの人間はなぁ、『反応』して生きてんねや。

自分から世の中に働きかけるんやのうて、周囲に『反応』しとるだけなんや。

親から言われて勉強して、みんながやるから受験して、みんなが就職するから就職して、

上司からこれやっとけ、いわれるからそれやって、とにかく反応して反応してし続けて

一生終えるんやで」



「そんなんで自分の人生手にいれられるわけないやんか。自分の人生手にいれとるやつらは

全部自分で考えて計画たてて、その計画どおりになるように自分から世界に働きかけていくんや」





そう言いながら、いよいよ主人公とお別れというときになって、こうも言う。


「無理すんなや。

夢追いたかったら追ったらええ。オンナの尻追いかけたかったら追ったらええ。何したってええんやで。

成功しても成功せんでも、気張って目標に向かって努力しても、誘惑に負けてしもても、ワシ、自分(主人公のこと)のこと好きやで。

成功だけが人生やないし、ぎょうさん笑うて、ばかみたいに泣いて、

死ぬほど幸せな日も、笑えるぐらい不幸な日も、世界を閉じたくなるようなつらい日も、

涙が出るような美しい景色も、全部全部、自分らが味わえるために、この世界創ったんやからな






いい加減なゾウの神様を笑っているうちに、一気に読めてしまう。

そして読み終えたあと、ゾウの神様が好きになっている。





「夢をかなえるゾウ」  水野敬也   飛鳥新社







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