太平洋のまんなかで

南の島ハワイの、のほほんな日々

縁起

2013-04-27 07:43:00 | 日記
その昔、友人がハワイに新婚旅行に行くことになった。

「でもねえ、お母さんが方角が悪いから熱海に1泊してから行けってうるさいのよぅ」

熱海に寄る時間があったらハワイに費やしたいぐらいだが、結局彼らは熱海に行った。



方角だけじゃなく、大安とか友引とか仏滅とか、

その深い意味を知らなくても、なんとなく縁起がいい日とか悪い日とかいって、

行動を起こしたりやめたりする。




母方の祖父を思い出す。

離れて暮らしていたので、それほどたくさんの思い出はないが、俳優の笠智衆に似た、とても寡黙な人だった。

祖母は、母が14のときに亡くなっていて、そのあと40年余祖父は生きた。

あるとき、親戚が集まったときに、何かの日取りを決めるのに揉めていた。

縁起をとると、全員が集まれなくなり、予定を合わせると、縁起の悪い日になってしまう。

じっと聞いていた祖父がおもむろに言った。



「縁起にこだわったらつまらんよ。縁起より自分らの心がけのほうが大事だに。

天気がよけりゃ、いい日だで」



私はいたく感動して、最初の結婚式は仏滅にした。ものすごく安かったのだ。

最初から離婚するつもりで結婚する人はおらず、私もそれは同じで、

縁起なんかに踊らされてたまるか、という気持ちだったが、11年後、見事に離婚した。

結婚生活の辛さや離婚を「不幸」とするなら仏滅に結婚したから、となるし、

避けては通れないことだったとすれば、縁起などどうでもよかったといえるだろう。

前述の友人は、その後20年、今でも仲良く暮らしているが、

それは熱海の効果であろうか?



今思い出したが、最初の結婚時代に家を建てた。

地鎮祭をやるのに、都合のいい日を選んだら、それが大安じゃなかった。

神主さんは抵抗したが、どうにもその日しかなかったので渋々執り行った。

家は無事に建ったが、数年住んだだけで私は出てしまった。



私が縁起を気にするのが嫌なのは、

よくわからないものに縛られたくないのと、良くも悪くも、そのよくわからないもののせいにしたくないという

気持ちがあるからだ。

縁起を無視したから、かついだからこうなった、と思うのも思われるのも嫌だ。

大安に結納・結婚したって、破綻するときはする。

仏滅であっても、仲良く連れ添うことだってある。

ただ、縁起をかつぐことで心の平安を得られるという人たちには、それは大事なことだろうと思う。



思い立って、自然とそうしたくなったときがベストのとき。

今でも私はそう信じている。







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