太平洋のまんなかで

南の島ハワイの、のほほんな日々

プロレス

2014-06-18 07:50:36 | 日記
私の母は8人きょうだいの下から2番目なので、叔父叔母はたくさんいるのだが、

中でも1番濃くかわいがってもらった叔母がいる。

その叔母は、母のすぐ上の姉で、Fおばちゃんとしよう。


子供の頃から、夏休みなどの長い休みには、Fおばちゃんの家に泊まりに行った。

Fおばちゃんの家には、うちにはいない鶏がいて、毎朝新鮮な卵を産む。

まだほの温かい卵を初めて触ったときの、ぞくぞくするような気持ち。

Fおばちゃんは、その卵で、甘いオムレツを焼いてくれた。



Fおばちゃんは小学校の教師をしており、

夫である叔父は、当時、別の学校の教頭先生だった。

叔父も叔母も温厚な人柄で、とくに叔父などは、善人を固めて作ったような人物。

私はついぞ叔父の不機嫌な顔をみたことがない。



Fおばちゃんの家で、私はとても楽しく過ごしていたのであるが、

ただ一つ、どうしても不思議なことがあった。


普段は使うことのない応接間にテレビがあって、

プロレスが始まるとFおばちゃん家の人々が人が変わるのだ。

テレビの前に座り、プロレスラーが闘うのを、大声をあげながら観戦する。

「今!今だ、そこ!あー、そこじゃないッ!」

「よしッ、よしッ、いけいけいけいけ!!」

「あーーーーーーッ!」


我が家でプロレスを見る人はいなかったし、

善人を固めてできたような叔父叔母が、頭から湯気をたてて叫ぶのを

私は唖然として眺めているのであった。


プロレスが終われば、彼らは再びやさしい叔父叔母に戻るのだけれど、

その変わりようが見事で、私は今でもプロレスと聞くと、Fおばちゃんの応接間を思い出すのである。








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