太平洋のまんなかで

南の島ハワイの、のほほんな日々

やんごとなき

2014-06-29 09:09:13 | 日記
「朝と夜が逆転の生活してるのよね」

日本人の女性のお客様が、同僚と話しているのが聞こえてきた。


「皇太子さまやお子様が起きてくるころに寝るんだってさ」

どうやら雅子さまの話らしかった。

お客様は週刊誌がお好きで、そこで仕入れた情報なんだろう。


「病気だかなんだか知らないけど、そんなの私たちにしてみたら贅沢病よ。

国民の税金で生活しているくせに、そんなダラダラしているなら

さっさと普通の人に戻ればいいのよ。

皇太子さまにはガッカリだ。ホントにダメだ」



その方が雅子さまに憤慨しているのはわかるけれど、

私は、少し悲しい気持ちになった。

お客様の憤慨は止まらない。



「それに、自分の病気は紀子さまのせいだとか言ってるらしいじゃない?

紀子さまは男の子をお生みになったから。そんなの逆恨みもいいところよ。

まったくどうしようもない人だわね」




それって本当?

記事をおもしろくするために、誰かが邪推して書いたのではないの?

私はさらに悲しくなった。



私は今の皇室のことについて何も知らない。

雅子様が「うつ」なのかも知らない。

けれど、ストレスによる心の病であれば、それに近いものなのかもしれない。

私の夫も「うつ」を持っているし、それは程度でいえばとても軽いほうだと思うけれど

身体も心もコントロールできなくなって、本人がどれだけ辛いかはわかる。




イギリスの王室にしろ、日本の皇室にしろ、

まったく責任感をもたない誰かの意見によって、どんなふうにも「像」は作られてしまう。

日本から離れたハワイにおいてさえ、悪口(だよね?)を言われるなんて

やんごとなき人達に、私は本当に同情する。



そのお客様の相手をしていた同僚は、賛成するような相槌は避けて

「大変だけれど、承知で選んだ人生ですからね」

とだけ言った。



あとでその同僚が、実は「うつ」で辛い思いをしたことを話してくれた。

食事もできない、眠れない、自分の子供を見てもかわいくない、すべてがどうでもいい、

今思い出しても、それは本当に地を這うような月日だったと言った。

「そのとき、贅沢病だとか、あんたはダメだとか言われたら、どんなに苦しかっただろうなと思ったら

腹が立ってきちゃって」



子供の頃、王子様やお姫様に憧れた。

でも大人になれば、庶民であることがどれだけ幸せなことかを知る。







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