太平洋のまんなかで

南の島ハワイの、のほほんな日々

歯医者でピニャコラーダ

2014-08-18 06:55:53 | 日記
上の奥歯に違和感があって、歯医者に行った。

夫の父が昨年リタイアするまでは、歯の治療はいつも義父にやってもらっていた。

40年あまり、義父が営んでいた歯科医院をまるごと売ったのだけれど

(適正な人を探すのに5年以上かけたらしい)

衛生士たちもそのままだし、新しい歯科医も若くて楽しい人である。



レントゲンを撮ったら、私の上の奥歯は立派な虫歯だった。

衛生士のアシュリーが

「トロピカルを作るわよー。ピニャコラーダ味でいい?」

「なにそれ?ピニャコラーダは私の大好物だけど」

「オッケイ!はい、どうぞ」

木の串の先に、透明な水飴みたいなものを巻きつけたものを私の口の中に入れた。


「だから何?これ」

「これから治療するところを痺れさせるのよ」

「麻酔の注射の代わり?」

「麻酔もするわよ。痺れていると、その針が痛くなくなるでしょ」


おいしいピニャコラーダの味が口の中に広がってくるのを楽しみながら

歯医者も変わったもんだ、と思う。


私が子供の頃、歯医者といえば「痛いことをされる場所」だった。

あの恐ろしい音のする機械で歯を削るときにも、麻酔などしなかったと思う。

私は虫歯の多い子供であったから、夏休み前の歯科検診が恐怖だった。

要治療の紙を持って歯医者に行き、治療しましたというサインをもらわなくてはならない。

それは夏休みの宿題よりもずーっと深刻で憂鬱だった。



歯医者が変わってきたのは、20年ぐらい前からじゃなかろうか。


治療をするのと同じぐらい、患者に痛い思いをさせないということに重きがおかれるようになった。

昔、職場の近くで開業していた歯医者は(うちの家族は今でも一族郎党厄介になっている)

「歯医者はサービス業ですから」

とキッパリと言ったものだ。



ピニャコラーダが効いてきた頃、アシュリーがサングラスをくれた。

「これ、かけるとまぶしくないからね」

口の中を照らす照明がまぶしくないように、患者はサングラスをかけるのだ。

ドクター・スウェイが、

「シロ、今からちょっとだけ痛いかもしれないけど、ほんとごめんね」

と言いながら、麻酔の注射をしたのだが、私はいつ針が入ったのかもわからなかった。

さすがピニャコラーダ。



スウェイの奥さんは日本人だ。

1度、奥さんとランチをしたことがある。早口でおもしろいことをさらさらと話すチャーミングな人。

サーファーでもあるスウェイは、サーフィンのためだけにハワイに越してきた。

明るくて楽しい彼は、私と誕生日が同じで、

たった二人しかだけど、 JAN 2ndチーム を作っている。


キぃーーーーーーーン という恐ろしい音に、身体は緊張するも、痛みはない。


「おおッ!!」

スウェイが叫ぶ。

「これは思ったよりも大きい虫歯だったよ、入り口が狭いのに奥が深いぞー!!」

そんなことを言われても。


「もうすぐ終わり、もうすぐ終わり。1月2日生まれは強い強い」

まるで子供じゃないか、それじゃ。

私よりずっと若いくせに。





40分で治療が終了。


また次も予約をするのかと思いきや、これで終わりだった。

「これでおしまい?大きな虫歯が?」

「おしまい。1月2日生まれは腕がいい(笑」

かすかな不安が残らなくもないが、

それほど憂鬱にならない歯医者があるというだけでも、おおいに感謝なのである。







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