太平洋のまんなかで

南の島ハワイの、のほほんな日々

後ろの人達

2015-03-04 21:10:52 | 不思議なはなし
実家の母が、お風呂の中でウトウトしてしまったらしい。

すると顔のすぐそばで

「パン!パン!」

と手を叩く音がして、ハッと目が覚めた。

もちろん、浴室には母一人。

「誰かが起こしてくれたんだねえ。まだ逝く時じゃないんだね」

母はたまに、こんな不思議なことがある。


どんな人にも、何人もの存在がそばについているという話を、私は信じている。

それを守護霊とかガイドとか言う人もいるけど、私は「後ろの人達」と呼ぶのが好きだ。

元、人間だった存在もいれば、一度も人間をやったことがない存在もいると思う。

その人の人生の節目で、メンバー構成が変わったりすることがあるとも聞いた。

でもきっと、班長みたいな存在は、生まれてから死ぬまで変わらないような気がする。



彼らは、私の目の前に水たまりがあったら、落ちないように守ってくれるわけじゃない。

必要ならば、背中を蹴飛ばして、わざと落とすことだってある。

過去、途方に暮れていた時期に、気がつくと私は後ろの人達に話しかけていた。

今思えば、これはかなり怪しい。

一人暮らしのアパートで、独り言を言う女。

返事が返ってくるわけじゃない(来たら怖い)。

けれど、本当に後ろの人達がいたらいいなと思っていたし、

そう信じると、気持ちが楽になった。




ある時、私はリビングにしていた和室で、客用布団で寝ていた。

寝室は別にあり、そこにベッドもあったのだが、

風水的には東南の部屋で寝ると良縁がある、というのを読んでから、

毎晩そうしていたのだった。

離婚し、頼みの綱の恋愛相手にも振られ、仕事は零細企業の事務、40もいくつか過ぎた。

そういう状況の中で、私は割と元気にやっていたと思う。

エンジェルリーディングのセラピストにも会っていたし、

良かれということは何でも面白がってやった。

ピンクがいいといわれれば、友達とヒラヒラピンクの服を、キャーキャー言いながら買った。

理想の男性像を思いつくだけ書き出して、毎日眺めた。

立ち止まると、

「いいオトコなんかみんな結婚してるさ」

「40過ぎて、なに贅沢言ってんの」

そんな声が、自分の奥から聞こえてくるのが嫌だった。



その夜、いつものように理想の男性像をチェックして、おまじないの本にあった怪しいことをやり、

リビングにしていた和室の、客用布団に潜り込んだ。

その日仕入れた本に、寝る前に自分にある祝福の一つ一つに感謝する、というのがあり、

天井を見ながら声に出して感謝し始めた時だった。


それまで嗅いだこともない、濃厚で、華やかな花の香りが強烈に香ってきた。

部屋に花はない。香水もつけない。

その香りは、10本とか20本の花の数ではあり得ない。

「後ろの人達、いるの?」

そうすると、香りは一瞬だけ、一層強くなるのだった。

「ねえ、私は正しい道にいるの?」

あんなに香っていた花の香りが、煙のように消えて

窓の外から、とおく船の霧笛が聞こえた。

なぜかわからないが、涙が出てしかたがなかった。



あれは、後ろの人達の、私へのエールだったと思う。

私は紙に書き出したとおりの人に出会った。

ハゲじゃない、と書かなかったから(思いつきもせなんだ)ハゲていたけど。

あれから8年。

私は今でも、毎日、私にある全ての祝福に感謝することを忘れない。

後ろの人達が、私に花の香りで知らせてくれることはもうないけれども、

そうでなくても、いつも必ずいてくれることを知っている。


いつの日か、私がこの身体を置いて行く時に、後ろの人達に会えるのだろうか。

「あの時はどうなるかと思ったよ」と私。

「こっちだって、何度か担当を変えてもらいたいと思ったもんだワ」と後ろの人達。

それを思うと、自分の死は怖いものではない気がするのだ。



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