太平洋のまんなかで

南の島ハワイの、のほほんな日々

我慢比べ

2016-05-05 13:14:57 | 日記
母が、脳細胞の病になり、動作がとてもゆっくりになった。

それがわかったのは昨年の夏あたりで、とても心配していたのだが、

どうやらそれほど進行することもなく、今に至っている。

歩くのもゆっくりだし、細かい作業ができなくなってはいるけれど、

自分のことはできるし、頭はシャープで、私よりも記憶力がいいぐらいだ。


実家には、姉一家が2階部分に住んでいるが、

84になる父も元気で、一番身近にいる父が母の手助けをすることになる。

ところがこの父が問題である。

元気なのはありがたいが、昔から「バカ」がつくほどのせっかちで、

それに加えて口が悪いときた。

さらには、思ったことをそのまま口にしたあと、本人はケロリとしているのだから、

言われて嫌な思いを引きずっているこっちは腹だたしい。

母が病気であることを承知しながら、早く早くと急かし、苛立ちをそのままぶつける。




ここで一応断っておくが、

父のそういった態度は頭に来るのだけれど、根が天真爛漫で、それほど悪い人ではない。

まるで子供がそのまま年寄りになったようなのだ。

だから心底憎めないのだが、それでも毎回腹がたつことに変わりはない。



結婚生活60年近く、母はずっと耐えて生きてきた。

舅姑に耐え、夫のせっかち暴言に耐え、夫の経営する会社の仕事に耐え、親戚づきあいに耐え、

私が黙っていれば丸くおさまる、と言うのを何度聞いたかしれない。



先日、電話で母と話したときのことだ。

父がうるさくてかなわないと母は言い、そして、もう我慢するのをやめたと言うのだ。


「だからヒロコ(私の名前)、一緒にがんばろう」


私は前の結婚時代に、母のようになりたくて我慢を重ねてきた挙句、まったく幸せではなかった。

いくら我慢したって、いいことなんかひとつもない。

母はそのことを知っていて、私にそう言ったのだ。

教訓を活かして、今はたいていのことは我慢せず、逐一夫に伝えているが、

これからはますますそうしようと決意を新たにした。

もちろん、何一つ我慢しないというわけではなく(それは無理だ、たぶん)、都合のいい人にはならないということだ。

嫌な気持ちになったら、それを伝え、

聞きたいことはちゃんと聞き、

やりたくないことは、誠意を持って伝える。そういうことだ。

それが普通にできている夫婦もたくさんあるだろうが、私はそれができなかった。



母が我慢するのをやめて、いったい実家でどんなことが起きているのか、

と想像すると笑いがこみあげてくる。





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