好きなもの

いろんなものにあこがれてきた。

子供の頃は、たい焼き屋。

母が買い物をしている間、ずっとたい焼きを焼くおじさんを眺めていた。

あるいは豆腐屋。

タイル貼りの水槽の中の、柔らかい豆腐をすくうのを見るのが好きだった。

西城秀樹。下敷きの間に、雑誌から切り抜いた写真をいれていた。



好きなものがたくさんあったほうが楽しい。

近所の家の車のナンバーは、「H8obama」

わかるだろうか。8は エイト で、その前にHがあるから「ヘイト」

Hate Obama つまりオバマ大統領が大嫌いということだ。

オバマさんが嫌いなのは自由だけれど、なぜそれをあえて車のナンバーにするのだろう。

せっかくライセンスプレートをお金を出して頼むのに、

なぜ好きなものではなくて嫌いなものを選ぶのだろうか。



最近、好きなものに加わったのは、ウインクである。

若くてハンサムな男性のウインクではない。

ハゲてなくてもデブ、デブでなくてもハゲ、ハゲていてデブ、いずれにしても年寄り、

というような人達が、ほんのり笑顔でウインクをサラリとする。

これがとても素敵なのだ。

一番は白人、次は黒人。

東洋人でウインクをする人に出会ったことがない。

残念ながら、東洋人の容姿は、ウインクには向いていないと思う。

キムタクでも。(古いな)

嵐の誰かでも。

渡辺謙でも。



黒人の、すべてがダイナマイトなボディの女性達も、

とびきりカッコいいウインクをする。

扁平な顔も心も、骨の髄まで日本人の私は、

どうひっくり返ったところで生涯あんなウインクはできない。

だから尚更、いいなァー、と思う。

届かないけど、見ているだけで幸せ、というあこがれは、

下敷きの間に挟んでチラチラ見るのがいいのである。



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