太平洋のまんなかで

南の島ハワイの、のほほんな日々

じりじり

2016-09-14 19:41:41 | 日記
マイケル・エディ・エドワードは、カルガリーオリンピックのスキージャンプ選手だ。

彼の物語を映画で見た。


エディは、子供の頃からオリンピックにあこがれていた。

種目はなんでもよかった。

砲丸投げでも短距離でも棒高飛びでも、遊びといったらそれらの物真似ばかりしていた。

十代のとき、スキーに注目して、ダウンヒルに挑戦するが駄目で、

ひらめきがあってスキージャンプに変更した。


もちろん1度もジャンプをしたことがない。

ジャンプ用でもないスキー板をかついで、オリンピックをめざす人々のジャンプの合宿所に行き、

ジャンプのコツを教えてくれと頼む。

どのぐらいジャンプをやっているのかと聞かれ、

「昨日からです」と言ったエディを、全員が笑いものにする。

オリンピックに出たい選手は5歳ぐらいから練習しているんだ、22歳なんて遅すぎる、と

はなからバカにした。



エディは、あるコーチに出会い、カルガリーオリンピックで

イギリス最高記録を何度も叩き出す。



こういう話を聞くたびに、胸の一部がジリジリする。

なにがなんでも成し遂げたいという、明確な夢がある人が、

それも子供の頃から、脇目もふらずにそれに向かって進める人が、

私は心の底から羨ましいと思う。

羨ましいを通り越して、嫉妬さえ感じる。


韓国ドラマに夢中になって、韓国語を覚えたり、韓国に何度も行く人達や、

芸能人のファンクラブに入って、追っかけをする人達にも、

似たようなジリジリを感じる。

私には、そのとき、そのときの目標はあっても、

他のことが目に入らないほどの情熱で、追い続けるような夢はない。

たいそうな夢じゃなくてもいい。

何をおいても優先したい、夢中になれるものが私にはないのだ。

かろうじてあるとすれば、昔、司馬遼太郎の「竜馬がゆく」全巻を読んで感動し、

坂本竜馬の軌跡を追いかけて、京都や長崎、鹿児島に行ったり

松下村塾の跡を見に行ったり、幕末に凝った時期はあった。

しかしそれも、そこに行くついでに足を伸ばしたようなものだ。


私のような人がほとんどなのだろうけれど、

私はそれでもジリジリしてやまないのである。






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黒いハート

2016-09-14 19:31:48 | 不思議なはなし
日常には、「カミサマ、いたじゃん!」というような不思議なできごとがちりばめられている。

黒いハートの話は、いつか書いたことがあったろうか。



夫が日本に単身行ったのは35歳の正月だった。

その1年ほど前に、たまたま道を教えた日本人の旅行者と仲良くなった。

その人達が友達を連れて再び訪れたり、自分が日本に行ったりして友情を深めていた。

夫が日本に遊びに行った帰りの空港で、飛行機を待っている間のことだ。

手帳を取り出した夫は、空白のページいっぱいに大きなハートを書いた。

そしてそのハートの中を、黒く黒く塗りつぶしはじめた。

なぜそんなことをしているのか、夫はまったくわけがわからないのだが、

手が勝手に動いて、止めようにも止まらないのだそうだ。



ハワイに戻ってきてから、夫は心の声を毎日聞かされることになる。

「日本に行け 日本に行け」

自分の思考ではない思いが、ずっと頭を離れることがなかった。

当時、働いていた職場でのストレスで、ウツの薬を飲んでいたから、

その副作用でおかしくなったのかとも思ったらしい。



夫は子供の頃から、隣に住む日本人など、日本人や日本の文化が好きだったそうで、

最初に結婚した相手も、日本とアメリカのハーフだった。

それほど日本が好きでも、日本に住むことは考えたことはなかった。

心の声に対し、

でも仕事があるし。自分の家も買ったし。日本にコネもないし。日本語も話せないし。

と抵抗しながら、それでもやまない「日本に行け」攻撃に、とうとうブチ切れた。

仕事を辞め、車を売り、買った家を人に貸し、巨大スーツケース2個を持って日本に行った。

それが35歳の正月だ。

日本に行ってみたら、「お祭りみたいにハッピーばっかりだった」(夫・談)

2ヶ月後には仕事が決まり、引越しをして、6月に私と出会い、12月に結婚した。

12月に結婚することになっていたなら、逆算すれば、やはりその時期に日本に行く必要があっただろう。



「瞑想してさ、紙とペンを握ってみなよ。何か自動書記おりてくるかもよー」

冗談交じり、でもその実はちょっと本気で言ってみるが、

夫は私と違って、瞑想だ潜在意識だなんてのは、てーんで興味がない。

それなのに、私よりもスピリチュアルな体験をしているのはちょっとずるい。







今日のことだ。

夫が前に勤めていた会社が、公金横領していたそうで、

その捜査機関から夫に電話があり、いろいろ聞かれたらしい。

あのまま、その会社にいても、どうなっていたかわからない。

夫は、自覚のないまま心の声を聞いているのだろうか。






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