太平洋のまんなかで

南の島ハワイの、のほほんな日々

にわとり

2017-04-19 07:24:14 | 日記
職場の敷地には、そこいらじゅうに野生の鶏がいる。

ハワイには蛇がいないので、鳥王国である。

小鳥は見た目にかわいらしいし、いい声で鳴くけれど、鶏はかわいくはない。

図体も態度もでかいし、けたたましいし、

ヒヨコを蹴散らかしてエサを食べようとする雄鶏なんか、憎たらしいったらない。


でも、

たまに地元の人が、マネージャーに許可をとってから鶏を連れてゆくことがある。

鶏は長く飛べないから、捕まえるのは簡単。

彼らは、次々と鶏を捕まえては、持ってきたケージに入れてゆく。

その人達が、この鶏をどうするのかは知らない。

しかし、やすやすとつかまった鶏があげる鳴き声が、まるで

「ボクは死ぬんだよーーー」

と言っているように聞こえて、私は悲しくなる。



めんどりが、たくさんのヒヨコを従えて歩く姿も、見ていて飽きない。

ヒヨコも、黄色いのや茶色いの、黒が混じったの、と、きょうだいでもいろいろで

ピヨピヨとさかんに鳴きながら、お尻をふって母鶏のあとをついてゆく。

何をみてもおもしろい、彼らはそんなふうで、親の真似をして地面を掘ったり走ったり。



いつのまにか、私はヒヨコの数を数えている。

8羽いたのが、みんな無事に大きくなっていればホッとするし、

最初は7羽いたのが、3羽しかいないのを見ると、寂しい気持ちになる。

親にはぐれたヒヨコは、死ぬしかない。

1羽の迷子ヒヨコを、他のめんどりは容赦なくつついて追い出す。

「アンタね、自分の子供が5羽もいるんだから、ここで1羽増えたところで同じでしょうが!」

私はめんどりに説教する。

「犬は猫の子供を育てたりするんだよ?恥ずかしくないの?え?」

めんどりは知らぬ顔である。



きょうだいの中でも、体が弱いヒヨコもいる。

1羽のヒヨコが、歩くのもままならず、虫の息。

そこは人がたくさん通る砂利の上で、親子で固まっている。

私はそんなところで死ぬのは気の毒だと思って

スコップでそうっとそのヒヨコをすくいあげて、コーヒーの木の根元の、草と土が柔らかい日陰に移した。

でも、ピイピイと力なげに鳴き続けるヒヨコを見て、元の場所に戻した。

きょうだい達に囲まれると、ヒヨコは鳴くのをやめた。

「みんなと一緒がいいんだね、ひとりで死ぬのは嫌だよね、ごめんよ」






これはマズイと思う。

鶏に情が移ってしまうのは、ぜひとも避けたい。

から揚げも、チキンカツも、サムゲタンも、鶏そぼろも、焼き鳥も大好物。

だから、鶏はかわいくないぐらいでちょうどいいのだ。

鶏は増える一方、けたたましいし図々しい。ほんと、じゃまくさい・・・・・・






職場のピクニックテーブルの上でのんびりするヒヨコのきょうだいたち。

これだけ大きくなればもう大丈夫。

こんなに体は大きくても、声だけはピヨピヨとヒヨコのまま。

ああカミサマ、どうか私がこれからも焼き鳥を楽しめますように。(そう言われてもな・・by神)






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