早めにサンクスギビングを祝ってしまったので(その記事はコチラ)
本物のサンクスギビングデーは友人とワイキキでランチを食べることにした。
地元民向けの店はこの日は閉まっていることが多いけれど、旅行者が多いワイキキなら開いているし、
自分の運転でワイキキに行くのは嫌だが、夫がいるので大丈夫。
郵便局併設の駐車場に車を置いて、歩く。
夫も私も滅多にワイキキには来ないので、まったくもっておのぼりさんだ。
きょろきょろしながら歩いていると、化粧品屋の店先に立っていた白人金髪のオネーチャンが
これでもかの笑顔で駆け寄ってきて、サッと夫にクリームのサンプルを握らせた。
こうやって先にサンプルを握らせてから、大物をおススメしようというのがテキのやり方。
うちの近くのショッピングモールにも、たまにこういう商法のキオスクが出ている。
1番いいのは、サンプルをもらわないこと。
もらってしまったら、早くその場を去ること。
だから私はそのまま歩き去ろうとしたのに、夫がサンプルを眺めている。
「ねえねえ、モイスチャーライザーだってさー、2個もくれたよ」
ぐずぐずしている間に、オネーチャンは素早く店内に戻り、クリームのビンとスパチュラを持って走り戻ってきた。
「何の化粧品使ってるの?」
そう言って私の目元をジッと見る。
ここで正直に言うことはないのだ。どんなものを使っていたって、相手に関係はないし、
それはただの話の継穂であって、向こうは自分の商品を買ってくれさえすればいい。
なので私は黙っていた。
「これは海草が入ったクリームで・・・」
そう言ってオネーチャンはスパチュラですくったクリームを私の目元に塗ろうとする。
ファンデーションを塗ってあるのに、その上にクリームなんぞ塗られたくはない。
それにこれを塗られたら、立て板に水でセールストークが始まるに決まっている。
「No No No No、I don't want it(いらないわ)」
ここでへらへらと愛想笑いをしてはいけない。
きっぱりとNOと言う。
が、オネーチャンはプロだ。簡単に引き下がるようなことはしない。
「これはオーガニックで海草が入ってて全部自然のもので ペラペラー」
NOと言える国民のはずの夫は、隣で突っ立っている。
いいものなら試してみればいいじゃん、ぐらいの顔をして眺めている。
私達がここで引っかかっているとも知らず、友人はずっと先を歩いている。
ランチの予約の時間も迫ってきた。
オネーチャンの講釈は止まらない。
そこで私はオネーチャンの講釈をさえぎって、鼻息も荒く言った。
「I know it is good, but I don't need it.You know why?
Because I am 61 years old
(それはきっと良い物だろうけど、私には必要ないわ。なぜだかわかる?
私は61歳だからよッ)
オネーチャンは黙ってしまい、私の顔をまじまじと見た。
「Really?(うそー)」
ビンとスパチュラを握ったままでいるオネーチャンを置いて、私は夫の腕を引っ張って歩き出した。
友人が気づいてこちらに戻ってきた。
あそこで捕まった、と言うと
「あはは!あそこはね、サンプルもらって立ち止まったらダメなのよー。
同じようなのが、あっちと、その向こうにもあるよ。あの人ら、絶対引かないから」
ワイキキの真ん中のオフィスで長年働いていた友人は、ワイキキの通だ。
興味ないので話しかけないでオーラが友人にはあるのか、足止めされることはなくなったという。
きょろきょろしながら歩いている私達は、ネギを背負った鴨に見えたに違いない。
そしていつも、こういう場面で「NO」といわねばならぬのは私の方で、
夫はといえば、そのままいれば買ってしまいかねない態度。(実際に爪を磨くセットを買ったことがあった)
私は店員と夫と両方に向かって断っているような図になり、腹立たしいったらない。
この、逆サバ読み作戦は、日本にいたときからたまに使っていた。
駅から続く地下道に、昔はよく健康食品や化粧品を買わせようとする人たちがいた。
押しの強いオバチャンに捕まってしまうと、私はこの手で逃げていた。
逆サバする年齢も、二十代だった頃は38歳程度だったのが、今じゃ61歳だ。
このままだと80歳だとか言わねばならぬ日も来るね、と友人に言うと、
「いや、その前にもう化粧品じゃなくて霊園のパンフレットかもよー」
二人で笑ったが、すぐにその笑いは溜息になって消えた。
化粧品を勧められるうちが花ということである。
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本物のサンクスギビングデーは友人とワイキキでランチを食べることにした。
地元民向けの店はこの日は閉まっていることが多いけれど、旅行者が多いワイキキなら開いているし、
自分の運転でワイキキに行くのは嫌だが、夫がいるので大丈夫。
郵便局併設の駐車場に車を置いて、歩く。
夫も私も滅多にワイキキには来ないので、まったくもっておのぼりさんだ。
きょろきょろしながら歩いていると、化粧品屋の店先に立っていた白人金髪のオネーチャンが
これでもかの笑顔で駆け寄ってきて、サッと夫にクリームのサンプルを握らせた。
こうやって先にサンプルを握らせてから、大物をおススメしようというのがテキのやり方。
うちの近くのショッピングモールにも、たまにこういう商法のキオスクが出ている。
1番いいのは、サンプルをもらわないこと。
もらってしまったら、早くその場を去ること。
だから私はそのまま歩き去ろうとしたのに、夫がサンプルを眺めている。
「ねえねえ、モイスチャーライザーだってさー、2個もくれたよ」
ぐずぐずしている間に、オネーチャンは素早く店内に戻り、クリームのビンとスパチュラを持って走り戻ってきた。
「何の化粧品使ってるの?」
そう言って私の目元をジッと見る。
ここで正直に言うことはないのだ。どんなものを使っていたって、相手に関係はないし、
それはただの話の継穂であって、向こうは自分の商品を買ってくれさえすればいい。
なので私は黙っていた。
「これは海草が入ったクリームで・・・」
そう言ってオネーチャンはスパチュラですくったクリームを私の目元に塗ろうとする。
ファンデーションを塗ってあるのに、その上にクリームなんぞ塗られたくはない。
それにこれを塗られたら、立て板に水でセールストークが始まるに決まっている。
「No No No No、I don't want it(いらないわ)」
ここでへらへらと愛想笑いをしてはいけない。
きっぱりとNOと言う。
が、オネーチャンはプロだ。簡単に引き下がるようなことはしない。
「これはオーガニックで海草が入ってて全部自然のもので ペラペラー」
NOと言える国民のはずの夫は、隣で突っ立っている。
いいものなら試してみればいいじゃん、ぐらいの顔をして眺めている。
私達がここで引っかかっているとも知らず、友人はずっと先を歩いている。
ランチの予約の時間も迫ってきた。
オネーチャンの講釈は止まらない。
そこで私はオネーチャンの講釈をさえぎって、鼻息も荒く言った。
「I know it is good, but I don't need it.You know why?
Because I am 61 years old
(それはきっと良い物だろうけど、私には必要ないわ。なぜだかわかる?
私は61歳だからよッ)
オネーチャンは黙ってしまい、私の顔をまじまじと見た。
「Really?(うそー)」
ビンとスパチュラを握ったままでいるオネーチャンを置いて、私は夫の腕を引っ張って歩き出した。
友人が気づいてこちらに戻ってきた。
あそこで捕まった、と言うと
「あはは!あそこはね、サンプルもらって立ち止まったらダメなのよー。
同じようなのが、あっちと、その向こうにもあるよ。あの人ら、絶対引かないから」
ワイキキの真ん中のオフィスで長年働いていた友人は、ワイキキの通だ。
興味ないので話しかけないでオーラが友人にはあるのか、足止めされることはなくなったという。
きょろきょろしながら歩いている私達は、ネギを背負った鴨に見えたに違いない。
そしていつも、こういう場面で「NO」といわねばならぬのは私の方で、
夫はといえば、そのままいれば買ってしまいかねない態度。(実際に爪を磨くセットを買ったことがあった)
私は店員と夫と両方に向かって断っているような図になり、腹立たしいったらない。
この、逆サバ読み作戦は、日本にいたときからたまに使っていた。
駅から続く地下道に、昔はよく健康食品や化粧品を買わせようとする人たちがいた。
押しの強いオバチャンに捕まってしまうと、私はこの手で逃げていた。
逆サバする年齢も、二十代だった頃は38歳程度だったのが、今じゃ61歳だ。
このままだと80歳だとか言わねばならぬ日も来るね、と友人に言うと、
「いや、その前にもう化粧品じゃなくて霊園のパンフレットかもよー」
二人で笑ったが、すぐにその笑いは溜息になって消えた。
化粧品を勧められるうちが花ということである。
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