太平洋のまんなかで

南の島ハワイの、のほほんな日々

自己価値

2018-11-27 08:15:30 | 日記
職場の建物内に、壁画的なものを描いた。



ドアの上のほうに白い空間がふたつある。

ここは建物内部だが、外から家の窓を見上げているようなデザインになっていて、

廊下に沿って、ほかにも作り物のの窓が描かれている。

既存のその窓は、誰が描いたものか誰も覚えていないほど昔のものだ。

ペンキを塗りなおした時に、ここの2箇所の窓の絵は外して塗りつぶしてしまい、そのままだったのが

私にまわってきた。

窓枠ちょうどの大きさに板を切って、その板を持ち帰って好きな絵を描く。

そこで私はうちの猫たちを描くことにした。





窓から猫が見下ろしている感じ。


これを引き受けるに当たって、何人かの人が

「ちゃんと報酬をもらうべきだ」

と言った。

趣味で絵を描いているのならともかく、まがりなりにも作品を売っているプロなのだから

それは当然のことだ、というのだ。

それはそうだろう。

しかし、私は迷いに迷った。

ボランティアでやってあげることはすごく簡単だ。

いい人でいられるし、タダなら肩の荷も重くない。

それにひきかえ、自分の作品でお金をもらう、という行為はとても抵抗がある。

ずっと大先輩のグラス作家のヴィッキですら、まだその「自己価値観」が低くて悩むというのだから

もしかして多くの、ものを作る人たちに共通する悩みなのかもしれない。

そのときヴィッキはうまいこと言ったなァ。


"worth/value" of your talents



いろいろ迷った挙句、

この二つはタダでやるが、もしも他の古い窓の依頼がきたら、それは請求してみる、

ということにした。

ヴィッキに、それを言うなら最初の二つを描く前に言ったほうがいいよ、と言われていたのだけれど

「言えなかった」と私が言うと、ヴィッキは苦笑いをした。



材料費は、会社がもってくれた。

アクリル絵の具でこういう絵を描くのは初めてだったから、けっこう楽しかった。

本来なら社員は店で自分のものを売ることができないのに、私は特別に許されていて

隔週で絵を売らせてもらっている恩義もある。

私の描いたものが、この場所でずっと人々の目を楽しませることができるのもおもしろい。

という言い訳を並べてみた。



時間がたってみると、そんな自己価値だとかなんとかめんどくさいことを振り回さなくてもよかったんじゃないか、

と思えてきた。

タダで描いたからといって、私の価値が下がるわけでなし。

私のメインのコラージュならタダというわけにもいかないが、半分お遊びのアクリル画だし。

今日、これを持っていって、あの枠にはめてもらおう。
















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