太平洋のまんなかで

南の島ハワイの、のほほんな日々

アフター5

2019-05-26 13:51:35 | 日記
奥田英朗氏の本を読んでいたら、小説の舞台は全部オフィスで、
日本の会社勤め時代を懐かしく思い出した。
テレビ局にいたときは、独身の実家通いで、時はバブル。
仕事のあとは焼き鳥屋、串カツ屋、誰かがみつけてきた新しい店に行き、
そのまま同僚の母親がやっているBARに流れることが多かった。
歓迎会や送別会、忘年会や新年会、
なんのかんの理由をつけては、夜の街に繰り出していたように思う。

父の会社に入ってからは、会社がある場所が田舎だったこともあり
以前ほどには出歩かなくなったけれど、社員で積み立てをして、
溜まるとみんなで飲みに行っていたし、歓送迎会は必ずあった。

そういうアフター5は、日本では当たり前の風習だったけれど
日本の外ではそうでもないようで、
特に歓送迎会や、職場単位の飲み会などは日本独特のものかもしれない。

日本に住んでいた時、義兄が日本に出張にきたついでに我が家に来たことがある。
私達は義兄を港の近くの寿司屋に連れていった。
通されたお座敷に座っていると、いかにも仕事帰りの一団が隣のテーブルにいた。
年齢もさまざまな男女が、ぎこちない笑顔で座っているのを見た義兄が
「あれはいったいどういう集まりなんだと思う?」
と聞いたので、
「送別会か、上司に誘われて飲みに来たんじゃないの」
「仕事のあとに?」
「日本じゃ普通だよ。行きたくなくても行かなきゃいけない雰囲気あり」
「それじゃあ仕事みたいなもんじゃない」
義兄はシアトルの商社でばりばりのビジネスマン。
歓迎会のようなものをやるとしたら、オフィスの1室でケータリングなどを頼んで立食式にやるそうだ。
アメリカじゃ、仕事が終われば個人の時間。
アフター5に拘束するようなことはない、という。
仕事仲間で飲みに行くなんてこともないし、ましてや断れない上司の誘いとは無縁の世界だ。

私はハワイでかれこれ7年あまり働いているけれど、
職場の仲間とアフター5に顔を合わせるのはクリスマスパーティだけだ。
日本の企業に勤めている友人は、歓迎会や送別会を外の店でやるというから、
これはやっぱり日本独特のものなのだと思う。


とんと、夜の街に出なくなった。
もっとも私が住む地域は田舎で、出歩くような場所もないけども。
ときどき、ブルーノートでコンサートを聴いたあと、夜のワイキキを数分歩く。
8時過ぎだというのに、昼間のように明るく、
たくさんの車が行きかい、人でごった返している。
早くこの場を去りたくて、駐車場までの数分を早足で歩く。
うちの方じゃ、8時を過ぎればもう夜中みたいなものだ。
朝が早いし、夜は人と会うより、家でのんびりしているほうがいい。
田舎暮らしと、職場単位のしがらみが一切ない個人主義の社会は、
今の私に心地よい。