太平洋のまんなかで

南の島ハワイの、のほほんな日々

Nに会う

2019-08-10 19:29:10 | 日記
友人Nが、末娘を連れてハワイにやってきた。
Nは、テレビ局時代の1年後輩で、かれこれ30年以上のつきあいである。
普段は、ほとんど連絡をとりあうことがない。
互いの人生の節目のどこかで、ひょっこりと会うことになったりする程度で
近況もよくわからない。
今回も、3年ぶりの再会だ。


Nは、生意気な女の子だった。
芸能界に入りたくて、養成所に通っていたという経歴も変わっていたが、
言動も態度も、その他大勢の女子とは違っていた。
報道局に配属されてすぐ、
「私にサザン(オールスターズ)を聴かせたら、すぐに機嫌直るよ」
と言い放ち
「なんでオレっちがオマエの機嫌とらなきゃならねンだよ」
呆れたカメラマンのWがそう言うと
「がっはは!それもそうだよねえー」
と笑い飛ばしていた。

私も、テレビ局の中ではかなり変わり者であったと思うのだけれど、Nも相当浮いていた。
しかし私は、Nが好きだった。
私が自分に許していないことを、いとも簡単にやってみせるNが
まぶしいと思っていた。


そんな私達だから、平坦な人生になるはずもなく、
まあ、互いにごたごたといろいろとあって今に至っている。
18年前に資産家と再婚したNは、なんと私の遠縁になった。
(母の長姉の連れ合いの従兄弟が、Nの舅)
Nは、昔のNのまま。
かなり怪しい英語で、どこにでも行き、どんどん喋る。
初めてのことも、予備知識なしでやってしまう。
物怖じせず、どんなこともおもしろがって飛び込むNは
今でも私に勇気をくれる。
高校生になった末娘は、まさにNのコピーだ。

3年ぶりに会って、お昼を食べ、買い物をしてドライブし、
家に来て猫たちと遊び、たのしく過ごした。
資産家なのに、Nがいかにもなブランドものを身につけているのを見たことがない。
着やすい服、履き心地がいい靴、バッグはコットンの、買ったものを入れられる素朴なもの、前回会った時は、財布がジップロックだった。
そんなところも好きなのだけれど、ただひとつ、
Nは買い物をするときに値札を見ない。
これがカネモチというものか、と感心したりする。

いくつになっても、友達はできる。
けれども、昔の私を知っている、
そして10年、20年と同じ記憶を共有している友達は格別な思いがある。
その記憶にことさら触れることがなくても、
同じ時代をすごしたというだけで、温かいものが根底にあるような気がする。
まったくマメでない私は、とても友達が少ない。
そんな私を諦めずに、繋がってくれている友人たちには感謝の気持ちでいっぱい。

『シロも私も波乱万丈だけど、人生たのしもうね』

日本に帰るフライトを待つ間にNが打ったメールが届いた。