太平洋のまんなかで

南の島ハワイの、のほほんな日々

トイレカバーとスリッパ

2022-02-01 08:29:31 | 日記
同僚が、
「これ、何だかわかる?」
と言って、タオル地でできている細長い筒のようなものをバッグから出した。
両手で端をつまむと、楕円形にだらりと伸びた。

「トイレカバーじゃん」

「え?何て?」

「だから、トイレの便座のカバーだよ」

「(*´Д`)はあーーーー?????何のために???」

同僚の母親の知人が、日本人にもらったけど何かわからないから、と言って持ってきたのだという。
娘の同僚に日本人がいるから、聞いてみてあげるということになったらしい。

そこで私は説明した。
トイレに座ったときに冷たくないように、それと美しさを兼ねてカバーをするものである。
ウォシュレットが普及し始めてからは、便座は常に温かいこともあり、使われなくなった。
蓋のカバーや、U字型のトイレマットも同じ柄にし、
トイレのスリッパもマッチするようにすると素敵である。

「へえ、そうなんだ。でも掃除や洗濯がめんどうなだけじゃ・・?」

私もそう思う。
日本にいた頃は、全部そろえていたこともあった。
けれど、カバーが湿ったりするのは気持ちが悪いし、マットもすぐに埃っぽくなってしまう。
いっそ何もないほうが、掃除も楽だし、きれいに保てるような気がして、やめてしまった。

「ところで、トイレのスリッパって何?」

「トイレ用のスリッパがあるんだよ」

「えっ!わざわざ専用のスリッパに履き替えるわけ?日本人てどこまできれい好きなのよ」

彼らは日本の家のトイレを知らないのだから仕方がない。
私は、日本のトイレにスリッパがあるのは、和式の、しかも汲み取り式トイレの名残ではないかと思っている。
和式のトイレは床が汚れやすいし、匂いもあって、素足では入りたくない。
どの家も洋式トイレになって、トイレはずいぶん清潔になったのに、なぜか今でもトイレにはスリッパがある。

アメリカでは、トイレは狭い個室ではなく広いバスルームの一部だから、
家の中を素足で歩く人はそのまま、靴の人は靴のままで、専用のスリッパと言われてもピンとこないのも無理はない。


そういえば、日本人はいろんなものにカバーをするのが好きである。
子供の頃、友達の家に遊びに行ったら、ドアノブにもカバー、電話にもカバーがしてあった。
「これ、今の流行りなんだよ」
と友達が言っていた。
どのカバーにもレースがついており、電話のダイヤル(昔はダイヤルだったのよ)にもご丁寧に丸いカバーがついていた。
ダイヤルするたびに、そのカバーをめくるのだろう。
ドアノブは、回そうとしてもカバーが滑ってうまく回らなかった。
今は、丸いドアノブ自体少なくなった。

同僚がそのカバーを知人に返して、説明したら、
「ああ、一緒にあった楕円形のものは蓋カバーだったわけね!」
と合点していたそうだ。
そのカバーセット、どうしただろうかなあ。