アメリカ人のイメージに、自己主張をはっきりする、というのがある。
もちろん、そうじゃない人だっているんだけど、日本人よりははっきりしていると思うことが多い。
さて、私の職場では、コーヒーの試飲ができる。
昨日、私はそのコーヒーのある場所の担当で、試飲のコーヒーの管理とレジスターを兼任していた。
職場は5時に閉まるので、4時45分にはすべてのコーヒーを片づけることになっている。
店内にいる人達にラストコールも済ませ、片づけようとしていたら、女性が紙コップを片手に近づいてきた。
「これ、捨ててくれる?」
中にはミルク入りのコーヒーが入っている。
「ポットのコーヒー、冷めてるわよ。私、冷めたコーヒーは飲まないの」
と、澄まして言う。
継ぎ足しながらだから、閉店近くになれば熱々というわけにはいかないだろう。
いいですよ、と言って紙コップを受け取ったら、
「Will you make new batch for me? 新しいのを淹れてくれる?」
と言うではないか。
あと15分で閉店だよ?
その人がそのコーヒーのためにお金を払ったのなら、わかる。
だけど、これは無料だよ?
そこで、断ることもできたのだけど、私は譲って作ることにした。
「4,5分かかりますけど?」
「オッケイ」
コーヒーを作っていたら、通りかかった同僚が、「なんで今頃作ってんの?」と聞いたので、顛末を説明した。
「ひえ!もう閉店だし、それにタダじゃん?なに文句言ってんの?」
そこへその人が現れて、淹れたてのコーヒーを受け取り、その場を去った。
そこで同僚が一言。
「で、チップはどこ?」
チップなし。
ありがとう、もなし。
ついでに言うと、そこまでして、結局コーヒーを買わなかった。
口に合わなかったんだろうけど、それにしてもさ。
無料のものによくそこまで言えるなあ、と私は感心してしまうのである。