学生の頃、試験勉強をコツコツやった記憶がない。
小学校1年から高校を出るまでの12年間、夏休みの宿題を後回しにし続けたツワモノが、試験勉強だけは計画的にできるなんてことがあるはずがない。
一夜漬けや、試験のヤマをかける度胸はなく、たいてい3日漬けぐらい。
試験範囲の、まだ半分も見ていないのに既に夜中になり
「あー、明日東海沖地震がが来ないかナァ」
何度、真面目にそう思ったことか。
先に寝て、朝早く起きてからやろう、と思って寝過ごすこと数知れず。
1970年代から話題になっていた、『睡眠学習』の資料を取り寄せたこともあった。(その前に日頃からコツコツやれヨ)
深い眠りの時に記憶力が向上しているという研究結果から、覚えたいことをカセットテープに吹き込んで、枕の下に入れて眠るのだが、
これは既に学んだことの復習でなければ意味がなく、知らないことを睡眠中に聞いても、なんにもならないのであった。
寝ながら勉強ができたら、みんな秀才だわな。
英語の勉強では聞き流しというのもあった。
赤ちゃんが自然に言葉を覚えるように、英語のシャワーを常に浴びることで英語が話せるようになるのではないか、ということらしいのだが、
これには私は「NO」とハッキリ言える。
それを言うなら、10年以上365日英語聞き流し状態の私はネイティブ並みにペラッペラになってるはずじゃないか。
スポンジのようになんでも吸収してしまう子供の脳に比べ、覚えた先から忘れてしまう大人の脳じゃ、「自然に話せるように」なるわけがない。
職場のレジスターの隣にマグネットを売る一角があり、いろんな種類のマグネットが鉄製のパネルにくっついている。
物により価格が違うのだが、お客様はたいていそのパネルを指さして
「いくら?」
と聞く。
そこで私は、
「Price is on their back(値段は裏側についてます)」
と言うのだけれど、必ず聞き返される。
ジェスチャー付きで2回ほど言ってようやくわかってもらえる、の繰り返し。
「ンもう!最初からわかってよ!」
と思っていたのだったが、今日も同じ場面になったとき、
『もしや私の言い方がまずいのでは?(遅いだろ、気づくのが)』
と思い、
「どんなふうに言えばよかったの?」
とそのお客様に聞いてみたら、
「On the back」
と教えてくれ、
「あなたっておもしろいわねー」と笑った。
それらの裏側という意味で勝手に Their と言っていたのは、まったくの的外れではないにしても、不自然な英語だったようだ。
コツコツができずに、近道ばかり探してきた私。
英語しか使えないところに放り込まれても、やっぱり地道に勉強などせず、
英語しか話せない人のために、私が第二言語を使ってあげている、というメンタルを強くする方法で乗り越えてきたという始末。
私の英語は、人が言うのを真似たり、その場その場で体当たり的に覚えてきたものでできており、
移住した当初は話すより書く方がまだ得意だったのが、今ではまったく英文など書けなくなってしまった。
これは近道でさえもなく、行き当たりばったりとしか言いようがないのである。