太平洋のまんなかで

南の島ハワイの、のほほんな日々

みんな15歳の頃があった

2022-05-09 07:16:00 | 日記
夫の友人カラニはニュージーランドに住んでおり、12年ぶりにハワイに帰ってきた。
彼の両親がニュージーランド国籍で、ハワイで生まれたカラニはアメリカ市民でもあり、ニュージーランド国籍でもある。
16年前の私たちの結婚式でカラニに会ったのが最後で、そのあとすぐにニュージーランドに移住した。
12年前にハワイに来た時には私たちはまだ日本にいたので会えなかった。
私たちの結婚式のとき、カラニの奥さんのミシェルは臨月で、
そのときの胎児が今は身長190センチ以上のティーンエイジャー。
二番目に生まれた女の子が12歳で、三番目に生まれたのが男の双子で、その子たちが9歳。

今回、カラニはハワイ島に一人で住んでいる父親を訪ねてきた。
オアフ島に立ち寄ったカラニと、数人の同窓生たちとディナーを共にした。
中学高校の6年間を一緒に過ごした仲間。
みんな50歳のいいオジサンだが、教師のことや、バカバカしい話で笑いこける姿に、15歳の顔が見え隠れする。

「学校の横の公園のベンチで死体を見つけたことあったじゃん」
「おお!あった、あった、あれはMatだっけ?」
「そうそう。寝ているのかと思って、起こそうとしたら死んでた、ていう」
「チビったんだよね、まじで」


「モールの2階からさ、ラガーシャツの背中に名前が書いてあるおっさんの、その名前を大声で呼んでさぁ」
「うはは!『ヘイ!ラリー!!』って叫んで手すりの下にかがむと、おっさんがびっくりしてキョロキョロしてんだよね」
「あのときのおっさんの顔!」

今、自分たちがそのおっさんだっての。


「夜、墓場の横を車で走ってて、通りがかった人に生卵投げたことあったよなあ」

こいつら、けっこう悪いことしてる。

「それでさ、次の日学校に行ったら、ギャリーが『昨日さぁ、夜、車の中から生卵投げられてさ、参ったよぅ』
真暗で見えなかったけど、あれはギャリーだったんだよなあ。
もう俺ら、おかしいやら気の毒やらで・・・・」


ディナーの間、笑いっぱなし。
そんなカラニは今、スクールカウンセラー。
私の15歳は、人生で1番肥えてたなあ。
中高一貫だったから受験はなかったけど、とうとう最後までしっくり馴染まなかった。
部活の吹奏楽をやっていなかったら、空虚な6年間だった。
休み時間に教室のベランダから下の植え込みを眺めて、「ここから落ちたら死ぬかな」などとぼんやり思ったことがある。
別にたいして辛いこともなかったのに、そういうことをふと考える年齢なんだと思う。

駅から大きな公園を突っ切って登校する生徒がたくさんいて、そのうちの一人が露出狂に会ったことがある。
教室に入るなり、
「あー、なんで今日に限ってメガネしてなかったんだろう!」
女子校で、男の免疫のない子がほとんどで、私のように男兄弟がいなければ
男性器など見たことがない。
その子のまわりに生徒が集まり、
「どうなってた?」
「先がいくつかに分かれてた?」(バケモノか)
と質問責め。
「だからぁ、よく見えなかったんだってば!」
翌日からメガネ持参で露出狂を探しながら歩いたが、とうとう会えなかった。
感情が揺れやすく、ウブな15歳だったことよ。



50歳でも、もう亡くなった人もいる。
親がだんだん枯れてくる年齢でもある。
子供が独立している人もいるし、カラニのようにまだまだ子育て中の人もいる。
みんな、それぞれの1日、1日をどこかで過ごして今がある。

身軽な私たちが、今度はニュージーランドに行こう。