しみじみと、そう遠くない、行く末を思ってしまう本です。
このお2人と同じような人生を送っている人など、どこにもいないのですが、ふと自分の、また伴侶や家族との生き方を重ねてしまいます。
城山三郎さんと4歳年下なのに、7年早く亡くなってしまった奥さま、容子さんとの出会い、結婚生活、短い闘病から死に至るまでとその後をご自身が綴った本です。
お堅い経済小説、伝記小説を著してきた城山さんが最後の最後に書いた、
とっておきの恋愛小説かもしれません。
城山さんご自身がまとめ上げる前に亡くなったため、ご遺族や旧知の編集者が、ё(ロシア語でヨウと発音)という記号が付けられたメモや原稿の断片を集めて完成させました。前半は出会いや幸せなエピソード、というより、おのろけたっぷりで、それだけに別れの寂しさが際立ってきます。
奥さまを亡くした喪失感は深く、2人の思い出のつまった自宅に帰ることもできず、茅ヶ崎駅前にある仕事場で多くの時間を過ごします。
ふと、奥さまに話しかけようとして、
「そうか、もう君はいないのか」
と思うことすら、奥さまに話しかけることそのものなのです。
幸福に包まれて、誠実な日々を過ごし、家族を守り、社会を考え、その思いを訴えてきた人の生き方を知って、私も柔らかな感情を少し増やすことができました。
城山さんご夫婦はもちろんのこと、親子の関係も素敵です。
このお2人と同じような人生を送っている人など、どこにもいないのですが、ふと自分の、また伴侶や家族との生き方を重ねてしまいます。
城山三郎さんと4歳年下なのに、7年早く亡くなってしまった奥さま、容子さんとの出会い、結婚生活、短い闘病から死に至るまでとその後をご自身が綴った本です。
お堅い経済小説、伝記小説を著してきた城山さんが最後の最後に書いた、
とっておきの恋愛小説かもしれません。
城山さんご自身がまとめ上げる前に亡くなったため、ご遺族や旧知の編集者が、ё(ロシア語でヨウと発音)という記号が付けられたメモや原稿の断片を集めて完成させました。前半は出会いや幸せなエピソード、というより、おのろけたっぷりで、それだけに別れの寂しさが際立ってきます。
奥さまを亡くした喪失感は深く、2人の思い出のつまった自宅に帰ることもできず、茅ヶ崎駅前にある仕事場で多くの時間を過ごします。
ふと、奥さまに話しかけようとして、
「そうか、もう君はいないのか」
と思うことすら、奥さまに話しかけることそのものなのです。
幸福に包まれて、誠実な日々を過ごし、家族を守り、社会を考え、その思いを訴えてきた人の生き方を知って、私も柔らかな感情を少し増やすことができました。
城山さんご夫婦はもちろんのこと、親子の関係も素敵です。