自遊空間、 ぶらぶら歩き。

日々見たこと、聞いたこと、読んだこと、考えたこと

音と香りは夕暮れの大気に漂う

2008-11-04 | コンサート・音楽・宝塚
10月31日(金) マリーホール(灘区民ホール)で神戸大コミュニティーコンサート13
ソプラノ・フルート・ピアノが奏でる夕べのハーモニー

曲目は―
サンサーンス◆見えないフルート
橋本國彦◆北原白秋の詩による三つの歌曲(城ヶ島の雨、牡丹、薊(あざみ)の花)
カプレ◆ラフォンテーヌ寓話より三つの歌曲(烏と狐、蝉と蟻、狼と仔羊)、お聞き
ルーセル◆空と大気と風
ラヴェル◆“夜のガスパール”よりオンディーヌ
フォーレ◆ファンタジー
清瀬保ニ◆笛
ドビュッシー◆パンの笛、シランクス、音と香りは夕暮れの大気に漂う
ゴーベール◆異教の街の夕暮れ、二つの東方のスケッチ
野田暉行◆夕鶴に寄せる譚詩
ほか

神大生のアート・マネージメント教育の実習場面でもある、コンサートに行ってきました。

東西の詩をもとにした、20世紀初頭の音楽を集めた内容でした。
フランスからの留学生による、フランス語の詩の朗読も挟まれています。

この日の出演者はソプラノの正木裕子さん、ピアノのパトリック・ジグマノフスキさん、フルートのトーン・フレットさん。フランス、ベルギーを拠点に活躍されている音楽家さんたちです。

ヨーロッパでもアメリカでもでっぷり太った人が多い中、ピアニストとフルーティストは珍しくやせぎす。ピアニストなど、ぴったりした黒いパンツと靴の間から、オレンジ色の靴下がのぞいていました。おゝ、パリジャン!

コンサートのタイトルは「音と香りは夕暮れの大気に漂う」はピアノソロで演奏されたドビュッシーの曲のタイトルでもあり、シャルル・ボードレールの詩の1行でもあります。

プログラムに小松清さんの訳が載っていました。

夕べの階調

時は来ぬ、うてなの上にゆらぎつつ、
おのがじし花は香炉と匂うなり。
音と香りは夕べの空をめぐりゆく、
憂鬱のおどりよ、ものうきくるめきよ。

おのがじし花は香炉と匂ふなり。
ヴィオロンは悩める心のごとく鳴る、
憂鬱のおどりよ、ものうきくるめきよ。
大空は大祭壇のごとく悲しく美し。

ヴィオロンは悩める心のごとく鳴る、
やさしき心は暗くはてなき虚無を憎む!
大空は大祭壇のごとく悲しく美し。
太陽はこごる血潮におぼれたり。

やさしき心は暗くはてなき虚無を憎み、
かがやける過去のかたみを拾ふなり!
太陽はこごる血潮におぼれたり・・・
黄味の思い出はわが胸に聖体盒のごとくかがやく!


ネットで上田敏さんの訳をさがしてみました。

薄暮(くれがた)の曲

時こそ今は水枝(みづえ)さす、こぬれに花の顫(ふる)ふころ。
花は薫じて追風に、不断の香の炉に似たり。
匂も音も夕空に、とうとうたらり、とうたらり、
ワルツの舞の哀れさよ、疲れ倦(う)みたる眩暈(くるめき)よ。
 
花は薫じて追風に、不断の香の炉に似たり。
痍(きず)に悩める胸もどき、ヴィオロン楽(がく)の清掻(すががき)や、
ワルツの舞の哀れさよ、疲れ倦みたる眩暈(くるめき)よ、
神輿(みこし)の台をさながらの雲悲みて艶(えん)だちぬ。

痍に悩める胸もどき、ヴィオロン楽の清掻や、
闇の涅槃(ねはん)に、痛ましく悩まされたる優心(やさごころ)。
神輿の台をさながらの雲悲みて艶だちぬ。
日や落入りて溺(おぼ)るゝは、凝(こご)るゆふべの血潮雲(ちしほぐも)。
 
闇の涅槃に、痛ましく悩まされたる優心。
光の過去のあとかたを尋(と)めて集むる憐れさよ。
日や落入りて溺るゝは、凝るゆふべの血潮雲。
君が名残(なごり)のたゞ在るは、ひかり輝く聖体盒(せいたいごう)。


敏さんのとうとうたらり、とうたらりがまとわりついてくる^^ようです。

秋です。ちょっと詩など読んで、「ロマンチックして」みませんか?




コメント
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