みだらだな~。
そんな描写がえんえんと続く第1章です。
テレビ局とニュースショーと女子アナと、女子アナへの登竜門のようになっているキャンパス内のミスコン・・・。
そう、女子アナが主人公です。
具体的なモデルがそのまま登場しているわけではありませんが、あ~、そんなこともあったなーというような、女子アナがらみの報道のあれこれを思い浮かべてしまいます。
表舞台は華やかですが、あまりきれいだとは言えない裏舞台であがいている――あくまでもこの小説の中での彼女たちが、最終章に近づくにつれ、しっかりと自分の道を選び取って歩いていく姿勢に救われるし、感動もします。
15年以上も前になるでしょうか、『週刊朝日』に連載されていたエッセイ「家族の標本」を読むたびに、感心していました。
柳美里さんはまだ20代でした。
自分と自分の周りに生きる人たちの隠しておきたいような部分までさらけだしてしまう柳さん。
自分の羽を抜いて布を織っているようで、時には痛々しいなーと思う気持ちがぬぐえません。