やがて日が昇りはじめ、周囲に色が戻ってきました。
またもや夜通し歩き続けることになりました。
今回は京都一周トレイルのようにならないように、テントで寝ることを前提としています。
あるときお客様に聞かれました。
『何を考えながら歩いているの?』
えーっ、それはどうかなぁ。
『だって暇でしょ?独りだと話も出来ないし…』
まぁそうですよね。
というわけで、今回は自分が何を考えながら歩いているのか意識してみました。
実際にはいつもの道を散歩するように歩いている訳ではなく、五感を集中させているようです。
考えていることは、仕事のことでも家庭のことでも、普段日常のことでもなく、今この状況をどう捉えて行くかに尽きると思いました。
所要時間、予定通りに進んでいるか、道を間違っていないか、補給ポイントや水場の確認、体調の変化、獣の息づかいや危険箇所の通過など登山中のあらゆる部分に気を配っているようです。
つまり、他のことはほとんど考えていないみたいです。
ラジオを持っていくこともありますが、それはテント内で寝るまでの間の情報収集や軽い番組を聞くこともあるかな?程度です。
だいたい落ち着くのは、明日の起床時間をセットして寝袋に入り込み頭のドローコードを引いた時に『ふぅー』っと大きく息を吐く時ですね。
『人は何故山に登るのか』という問いかけに『そこに山があるから』というセリフがあったのを知る方は多いと思います。
さて、僕の場合はどうなんだろう。
今回はその辺についても考えてみました。
お酒が呑める人は、仕事が終わって一息つく時にあらゆるストレスを和らげる意味で酔いに任せることがありますか?
気持ちがフワフワして楽になったりしますか?
まぁそうでないお酒もあるでしょうが、だいたいは『あー呑みたいな~』的な解放感じゃないのかな?って。
僕はお酒が呑めないのでその辺は分からないのですが、登山という行為が自分の中では唯一、他のことはほとんど考えなくていい時間となってるようです。
日常から離れて解放的な気分になる。つまり『登ることで酔っぱらう』のです。
帰ったらまた色々考えることもありますが、スッキリします。山中という呑み屋で酔うという行為が登山になっているようです。
1週間ぐらいたつとまた呑みに行きたくなる… つまりまた山に登りたくなるっていう感覚がぴったりな表現のような気がします。
連休で山に行ける時は『深酒して良い日』ですね。酒の質も色々、酔い方も色々って訳です。
ん? 変ですか?
さて話は戻ります。
せっかく登った山ですが一度完全に下界へ降ります。
アクセスポイント通過のためです。
それと食糧補給、水分補給、さらには肉体にエナジーチャージするためです。
そしてまた標高差900mを登って行きます。激しい息づかいや流れる汗、腰や肩に食い込む荷物が自分をおかしくしそうです。
金剛山が見えて来ました。
すごい形です。
今回は金剛山山頂へは行きませんでした。僕の目的はあくまでもダイヤモンドトレイルです。成功させるために欲張ってはいけません。
ここで予定より遅れてしまいました。
稜線に出て初めて山に人がいました。やはり金剛山は人気の山なのですね。活気づく感じが今まで歩いてきた山域とはまるで別のようです。
でも、そこから先はまた人がまばらになり寂しくなっていきます。
ここから先に歩みを進める人は何処まで行くのでしょう。
大阪弁はどうも慣れないのですが、ひとりひとりお話すると、とても優しくて楽しいです。
大阪の人が好きになりました。
一人でベンチに腰かけておにぎりをほおばっている奥さんがいました。
おにぎりを食べているのを見られて気まずそうな笑顔をしました。なのであまり気にされないように会釈だけして行き過ぎました。
すると追いかけるように『どこまで行きはるん?』と声をかけられました。
(あぁ~来ちゃったよぉ、捕まらないようにサクッと簡潔に話そう)
『最後まで行きます』
『あー 紀見峠まででしょ?一度だけ行ったけど5時間はかかるわね。遠いわよー』
(えーと… 紀見峠じゃないなぁ。もっと先だよな)
実際にはその3倍ありますねん。
『頑張ります。』と言って手を振ったら、嬉しそうに手を振り返してくれました。
その先のベンチでルート変更の作戦会議を一人でしていると、先ほどの奥さんが追いついて来ました。
『ウサギとカメみたいやね』
僕がウサギですか?(笑)
今日はトレイルに集中したいので、追いつかないように時間をあけました。
普段だったら構わないのですが、今日はすでに12時間以上歩いて疲労してますし、時間の遅れによるルート変更をしますから、この行程に集中したいので独りになりたいのです。
ついに予定の時間からどうにもならないほど遅れ始めました。日が暮れる前にキャンプ場にたどり着きたいです。
でも、予約しないとダメなのかな?
だとしたらアウトかも。
その場合もう動ける気力を失ってしまうな。
キャンプ場には温泉もあるし、楽しみだな。営業時間って何時までなんだろう。
まずテント張ってからにしよう。
なんて考えながら40分ほど標高を下げます。ここにはアクセスポイントもあるのでちょうどいいな。
なんとか明るいうちにたどり着きました。よかった~。
ところが…。
続く。
またもや夜通し歩き続けることになりました。
今回は京都一周トレイルのようにならないように、テントで寝ることを前提としています。
あるときお客様に聞かれました。
『何を考えながら歩いているの?』
えーっ、それはどうかなぁ。
『だって暇でしょ?独りだと話も出来ないし…』
まぁそうですよね。
というわけで、今回は自分が何を考えながら歩いているのか意識してみました。
実際にはいつもの道を散歩するように歩いている訳ではなく、五感を集中させているようです。
考えていることは、仕事のことでも家庭のことでも、普段日常のことでもなく、今この状況をどう捉えて行くかに尽きると思いました。
所要時間、予定通りに進んでいるか、道を間違っていないか、補給ポイントや水場の確認、体調の変化、獣の息づかいや危険箇所の通過など登山中のあらゆる部分に気を配っているようです。
つまり、他のことはほとんど考えていないみたいです。
ラジオを持っていくこともありますが、それはテント内で寝るまでの間の情報収集や軽い番組を聞くこともあるかな?程度です。
だいたい落ち着くのは、明日の起床時間をセットして寝袋に入り込み頭のドローコードを引いた時に『ふぅー』っと大きく息を吐く時ですね。
『人は何故山に登るのか』という問いかけに『そこに山があるから』というセリフがあったのを知る方は多いと思います。
さて、僕の場合はどうなんだろう。
今回はその辺についても考えてみました。
お酒が呑める人は、仕事が終わって一息つく時にあらゆるストレスを和らげる意味で酔いに任せることがありますか?
気持ちがフワフワして楽になったりしますか?
まぁそうでないお酒もあるでしょうが、だいたいは『あー呑みたいな~』的な解放感じゃないのかな?って。
僕はお酒が呑めないのでその辺は分からないのですが、登山という行為が自分の中では唯一、他のことはほとんど考えなくていい時間となってるようです。
日常から離れて解放的な気分になる。つまり『登ることで酔っぱらう』のです。
帰ったらまた色々考えることもありますが、スッキリします。山中という呑み屋で酔うという行為が登山になっているようです。
1週間ぐらいたつとまた呑みに行きたくなる… つまりまた山に登りたくなるっていう感覚がぴったりな表現のような気がします。
連休で山に行ける時は『深酒して良い日』ですね。酒の質も色々、酔い方も色々って訳です。
ん? 変ですか?
さて話は戻ります。
せっかく登った山ですが一度完全に下界へ降ります。
アクセスポイント通過のためです。
それと食糧補給、水分補給、さらには肉体にエナジーチャージするためです。
そしてまた標高差900mを登って行きます。激しい息づかいや流れる汗、腰や肩に食い込む荷物が自分をおかしくしそうです。
金剛山が見えて来ました。
すごい形です。
今回は金剛山山頂へは行きませんでした。僕の目的はあくまでもダイヤモンドトレイルです。成功させるために欲張ってはいけません。
ここで予定より遅れてしまいました。
稜線に出て初めて山に人がいました。やはり金剛山は人気の山なのですね。活気づく感じが今まで歩いてきた山域とはまるで別のようです。
でも、そこから先はまた人がまばらになり寂しくなっていきます。
ここから先に歩みを進める人は何処まで行くのでしょう。
大阪弁はどうも慣れないのですが、ひとりひとりお話すると、とても優しくて楽しいです。
大阪の人が好きになりました。
一人でベンチに腰かけておにぎりをほおばっている奥さんがいました。
おにぎりを食べているのを見られて気まずそうな笑顔をしました。なのであまり気にされないように会釈だけして行き過ぎました。
すると追いかけるように『どこまで行きはるん?』と声をかけられました。
(あぁ~来ちゃったよぉ、捕まらないようにサクッと簡潔に話そう)
『最後まで行きます』
『あー 紀見峠まででしょ?一度だけ行ったけど5時間はかかるわね。遠いわよー』
(えーと… 紀見峠じゃないなぁ。もっと先だよな)
実際にはその3倍ありますねん。
『頑張ります。』と言って手を振ったら、嬉しそうに手を振り返してくれました。
その先のベンチでルート変更の作戦会議を一人でしていると、先ほどの奥さんが追いついて来ました。
『ウサギとカメみたいやね』
僕がウサギですか?(笑)
今日はトレイルに集中したいので、追いつかないように時間をあけました。
普段だったら構わないのですが、今日はすでに12時間以上歩いて疲労してますし、時間の遅れによるルート変更をしますから、この行程に集中したいので独りになりたいのです。
ついに予定の時間からどうにもならないほど遅れ始めました。日が暮れる前にキャンプ場にたどり着きたいです。
でも、予約しないとダメなのかな?
だとしたらアウトかも。
その場合もう動ける気力を失ってしまうな。
キャンプ場には温泉もあるし、楽しみだな。営業時間って何時までなんだろう。
まずテント張ってからにしよう。
なんて考えながら40分ほど標高を下げます。ここにはアクセスポイントもあるのでちょうどいいな。
なんとか明るいうちにたどり着きました。よかった~。
ところが…。
続く。