TINKERBELL BLOG

茨城県取手市「美容室アトリエティンカーベル」ティンカーベルのスタッフを身近に感じていただければ嬉しいです

第1回 みちのく潮風トレイル その3

2021年07月03日 | Weblog
立ち上がって再び歩き始めます。


突然目に飛び込んできた標識には「東日本大震災津波浸水区間ここから」の文字です。

こんなにのどかに見えるこの土地に突然やって来た大津波。
ああ··· 無情。


現在は美しいとすら思えるこの風情。
あの時の叫びが風に乗って僕にも聞こえてきそうです。

普通トラックが停まっていました。
真っ黒に日焼けした男性が黙々と作業しています。
彼が建てているのは「避難所案内図」でした。ありがとう、お疲れ様。


復興は今でも毎日少しずつ進んでいて、地図とは異なる状況だったりしていました。
特に常磐線が走っていた場所は道路になっていました。
線路は高架されて地面より高いところで、かつ内陸側に移動して運行されています。

無いはずの道があったり、あるはずの道が無かったりしました。
変化の度合いがあまりにも激しいので、戸惑いを感じました。
通らないと行けないところなのに通行止めの看板があったりしました。

僕の目に飛び込んで来たものは「震災遺構/中浜小学校」でした。


中浜小学校は震災を受けたままの姿でそこに静かに鎮座していました。
現在公開中です。
電車の時間もあって中を見ることは出来なかったのですが··· いや、時間があっても中を覗く勇気は無かったかも知れません。

さて変わってしまった道をたどりながら、坂元駅に向かいます。
もうルートがどうのこうのなんてレベルじゃなくなりました。
通れるところを歩くだけです。
そして最後はスマホを出してGoogle先生に道案内してもらうことになりました。


坂元駅に限らず、この辺りは全て線路を持ち上げているようです。

16時02分 坂元駅到着。
膝(靭帯)の痛みは薬が効いているうちになんとかここまで来ることが出来ました。

予定ではもう1つ先の山下駅まで行きたかったのですが、今日はここまでとしました。
無理をして悪化させない為にもね。

16時17分の電車で相馬駅に戻ります。
車内は換気され、乗客もまばらでした。

相馬駅に着くとタクシーに乗り込みます。
色んな方法を考えるけど、昨日の晩ETCの夜間割引で浮いた分をここで使いました。

すると運転手さんが話しかけてきます。
タ『お客さん、環境公園が行き先ってことは歴史探索とかですか?』
僕『いやいや、みちのく潮風トレイル歩こうと思って。今朝ここから出たから』
タ『ここら辺は伊達政宗にまつわるものが多くてですね···』
タ『右近清水ってのがあって、あれはうちの家の近くで湧いた水を観光資源にしようということで、長い距離引いてあそこに出したんですよ』
タ『鹿狼山(かろうさん)は阿武隈高地で一番高い山でしてね、といっても430m』
などなどいろいろ説明してくれているうちに松川浦環境公園に到着しました。

『お客さん、この辺でいいですか?』
と言いながらズルズル動いてメーターがカチャっと上がりました。
やりやがったな?(笑)
1,790円でした。

温泉にも行かず、そのまま帰ることにしました。
今日も女房が我が家温泉入れておいてくれるみたい。
朝はあんなにガラガラだった道も、夕方ともなると車の数多かったです。
眠くもならずに帰ることが出来ました。
膝の靭帯は薬が切れたのか、相当痛いです。しばらく痛みは続きそうです。


おしまい。

歩行距離 44.1km
累計登坂標高差 987m
所要時間 11時間
88,500歩




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第1回みちのく潮風トレイル その2

2021年07月03日 | Weblog
ここまでは順調そのものでした。

でしたとは?

なんだろう、左膝の切れっぱなしの内側側副靱帯が痛み出したのです。
いくら歩いてもこんなことは無かったのに、ひと月前ぐらいに歩いた時もこの痛みが出てしまいました。
3日間ぐらい普通に地面を蹴って歩けませんでした。

スキーのワンメイクで切った靭帯ですが、歩くことに支障はないということでそのまま温存してきました。
あれから15年は経ったでしょうか。だいぶ使いまくってきましたが、悲鳴を上げたことは1度も無かったのに。

ま、仕方がないです。
痛みが本格的にならないうちにテーピングを施し、鎮痛剤を服用しておきました。
少し穏やかに歩くことになりました。


マップは新地町総合公園を通らせます。
意味合いとしてはトイレですね。
これは『ここでトイレ行っときなー』ということでしょうね。

誰もいません。
とにかく人に会わないのです。

そしてルートはもと来た道に戻ります。
ここから山に向かって歩いて行きます。
そう、みちのく潮風トレイルはただ単に海沿いを歩くわけではないのです。

「被災高齢者住宅」がありました。
入居している方たちはこの先どうなるのでしょう。
いままで歩いてきたトレイルと大きく違う感情が湧き上がってきました。


ルートはあの山に登らせるのでしょう、
地形図と見比べると、真ん中のチョンと高いところが「鹿狼山」の山頂なのかな?
左の尾根筋を上がり、山頂から稜線を右に伝って下山して行くのだと思います。

登山口です。
それなりの数の車が停まっていました。
なんと温泉もありました。
人気あるのかな?
(知らないってこういうことですね。あとで知ってびっくりしました··· のちほどお話ししますね)


登山道はなんと砂利で整備されています。
高速道路的な登山道ですね。

でも、今日の僕は違いました。
なんかペースが上がらないのです。
膝の痛みと腰、それも普段と違う脇腹に近い部分が痛い。
疲労感が少ないのに痛みが先行している嫌な気分がさらにスピードを抑え気味にしています。
『ゆっくり行くさ』そう自分に言い聞かせ、何度も切り株に腰掛けながら登ります。

もう皆さんどんどん下山してきます。
今日一番人とすれ違ったのはここです。

もうすぐ山頂です。
後ろから息を切らして登ってくる方がいます。
僕より10才は年上かな? でもここ標準コースタイムは40分なんです。僕は50分かけちゃいました。

海が見えます。
山頂にはテーブルがあり、その一段下には屋根付きの休憩舎もあります。
ここは山のコミュニティーセンターだな。
おしゃべりしてお弁当食べて··· いいですね。


11時45分、鹿狼山山頂です。
天気は最高ではないけれど、なんとか今日一日いけそうです。
反対側には蔵王連峰も見えます。


ふむふむ。
ここから蔵王を見ることになるとは思いませんでした。

さて、ここからは稜線伝いに「蔵王眺望コース」で下山します。
蔵王の眺望は··· 木々に阻まれて良く見えないんですけど。
蜘蛛の巣が絡みついてくることから、今日このルートは僕だけのものらしいです。

下山して舗装路に出ると、そこの坂の上は宮城県との県境でした。

ここをテクテクと下っていくと「真弓清水」があるはずです。あるはずなんですけど、ボーッとしていて見逃しました。
さらに下ると「右近清水」が湧き出ているとか。(湧き出ているかどうかはのちほど解説があります)

そこには「平和と鎮魂の鐘」がありました。


すぐ脇に池が見えます。

右近清水は平成の名水百選にも選ばれていて、伊達政宗の孫である伊達右近の功績をたたえて「右近」の名が付けられました。

うこん桜など、様々な種類の桜が咲き誇る桜の回廊があります。
時期が来れば素晴らしい景観でしょうね。

新地町の地図も終わる頃、公民館の脇にあるゴミ集積所の外壁に寄りかかりました。
今日初めて背中を付けて寄りかかりました。
太陽が降り注ぎ暑かったですが、ホッとした瞬間でもありました。

地図を入れ替えます。
山元町に入っていきます。


その3へ続きます。

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第1回みちのく潮風トレイル その1

2021年07月03日 | Weblog
少しの不安を抱えたまま自宅を出ました。
いつも通りマイカーで前夜発です。

今夜のねぐらはスタート地点の「松川浦環境公園」··· のつもりでした。
ところが相馬インターを降りるのが午前0時を回らなそうなのです。
0時を回るか回らないかで1,500円以上違う(深夜割引適用)ので、けちくそ根性丸出しで手前のサービスエリア(南相馬鹿島)で時間つぶしすることにしました。

それにしても30分あるのでちょっと考えました。
少しでも早く寝て現地に向かおうかな。

ねぐら変更です。
さっさとマイカーの窓のカーテンを閉めて寝床を作ります。
一番薄い寝袋に入りました。
外気温は17℃なので、下着で入ればちょうどいいかな?なんて思いました。

実際暑くてギブアップしました。
寝袋から抜け出し、タオルケットに取替えます。
その後少しモゾモゾしてる間に堕ちました。

4時間後、目覚まし鳴ります。
自宅を出た時は雨でしたが、予報通り雲多めながら晴れていました。
半袖半パンじゃ寒いかな? と思いましたが最悪カッパあるしなんとかなるさ。

車のナビの地図が古いので、東日本大震災後の道と違いました。相馬インター降りると新しい高速道路にそのまま乗れるようになっていました。
やば、吸い込まれちまった。
仕方なく1区間乗って『間違っちまいましたー』と言っちゃおー。間違った場合ゲート上げて出してくれてそのままUターンし、またフリーパスで高速に入らせてくれます。
逆走防止対策ですね。

それにしても次のインターまで15kmもあるでよ。つまり往復30kmの損。
ざっと30分は無駄にしました。
でもこの道路、無料区間でした。

海岸付近の道が変わっていて、ちょっと間違いながらも「松川浦環境公園」に着きました。
『ありゃりゃ? 入り口にチェーンかかっていて駐車場に入れないじゃん』サービスエリアをねぐらにして良かったー。

看板を見ると9時からだと···。
営業時間と同じく駐車場も閉鎖するとは知りませんでした。そうなると、帰りも時間が来ると閉鎖でしょ? 危ない危ない。
普通の公園とはちょっと違っているんですね。

辺りを見回すと堤防の一部に車が停まっているのが見えました。
あそこしかないな。
松川浦に面した堤防のようなところです。

後から来た釣りのおじさんに『すみません、ここって勝手に停めちゃって大丈夫ですか?』と聞いてみました。
すると『いいんだよ、駐車場なんだから』という答えが返ってきました。

よかったー どうしようかと思いました。

5時10分歩き始めました。
朝のうちだけ薄手のウィンドブレーカーを羽織りましたが、気温も湿度も快適です。


相馬駅を巻くようにつけられたルートは、神社や公園を通りながらだんだんと郊外へ連れていかれます。
「相馬中村神社」は日本百名城の一つらしいです。


「みさご沢池」に出ました。
ここまでほとんど人に会いませんでした。
人口密度少ないのかな? と思いました。


地図に「田園風景」と記載がありました。
おそらくこれからも時折訪れる風景だと思います。

どこから写真撮るのがいいかな? なんて考えていたらルートを外してしまいました。
もちろん戻ります。


新しい道が出来たらしく、地図と実際は少し違います。
分からなくなったら見回すとこんなリボンが結んでありました。
なかなか親切じゃないか。


「白幡のいちょう」福島県の天然記念物です。
これが出てくると相馬ルートが終ります。
国道113号をくぐる手前の縁石に腰掛けて地図交換します。
ついでにパンを半分食べました。

今日持ったパンは3つ。
足りなければ途中で買おうと思います。
そういえばみちのく潮風トレイルのコミュニティで教わった「虫除けスプレー」を途中のコンビニで見つけました。
山にも登るのであった方がいいですね。

どこからともなくおじさんが現れました。
『なんだ?疲れちったのげ?』
いやいやこんなところで疲れてたらマズイですよ。
たぶん道端に座っていたからでしょうね。

『地図交換してただけですよ』
と言うとおじさんは『ん〜』とだけ言っていなくなりました。

ザックを背負い直して再スタートします。
時刻は8時を回ったところです。


その2へ続きます。
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