若かりし頃の話になるが、私は学生時代に“ダンパ”に行く事を好んでいた。
この場合の“ダンパ”とは“ダンスパーティ”の略だが、学生ロックバンドが主催する生演奏のダンスパーティのことである。田舎の学校のため、大抵は学内の学生会館で催されていた。
当時学生バンドが好んで演奏していたのは、ディープパープルやレッドチェッペリン、ローリングストーンズ……、といったところだっただろうか。
元々無類の音楽好きでしかもダンス好きな私は、この“ダンパ”の開催情報を入手しては常連で通ったものだ。
“ダンスパーティ”と言えども、学生主催による古びた学生会館でのパーティのため、気の利いた演出等は何もなく、飲食もなく、ただ広間で生演奏に合わせて踊るだけなのだが、私にとっては我を忘れて音楽とダンスに浸れる楽しい一時だった。
この“ダンパ”、表向きはダンスパーティなのだが、その実は多くの参加者の一番の目的は言わずと知れているが“ナンパ”である。
当時の“ナンパ”と言えば男の子が女の子を“ひっかける”のが主流だった。女性は学外の女子大生の参加者が圧倒的に多く、学内の男子学生がこの女子大生を“ひっかける”ためのパーティだったと言っても過言ではない。と言う訳で、学内の女子学生の参加は至って少ないという特徴があった。
そんな中、私は純粋に音楽とダンスを楽しみたいがために(??)このダンパに参加していた。一人で参加する訳にもいかず、いつも学内の親友を誘うのだが、この親友はそもそも音楽にもダンスにもさほど興味はなく、当初はあまり気乗りしないままついて来ていた。
ところがどっこい、この親友がダンパ会場で男子学生にモテるのである。(親友の名を仮にD子としよう。) D子は当時決して女らしいタイプだとは言えず(失礼!)、本人にもモテようなどという裏心も一切ないのだが、どういう訳かモテるのだ。
そこで、当時の私はD子がなぜモテるのか分析してみた。冷静に観察してみると確かに外見は“いけてる”。秋吉久美子に似た瞳の印象的な色白の個性派美人で、体系的にも私より少し小さめだがスタイルも良い。うんうん、実は男好みがしそうなタイプだったんだ!と、私も新発見で重々納得である。
それに加えて、ダンパ会場で踊り過ぎてはいけないのだ。私のように最前列でノリノリで踊っては敬遠されてしまう。 その点、D子の場合ダンスが好きな訳ではないため、壁の花でいる場合が多い。そこを狙って“ナンパ”されているようである。 時代背景的にも“しゃしゃり出る女”は敬遠される傾向にあるような、まだまだそんな時代でもあったなあ。
そして面白いことに、モテはじめるとD子とてやはりモテることを楽しむようになってくる。最初はさほど乗り気ではなかったダンパに積極的に参加するようになった。しかも、ファッションやヘアスタイル等の外見的要素をも磨き始めた。
ある時街のブティックで、山口百恵がテレビで着ているのと同一の白のワンピースを二人で見つけた。色白のD子にとてもよく似合い、D子はそれを購入した。
そのワンピースをD子がダンパに着て行ったところ、D子を狙った男子学生二人がD子を奪い始めるではないか。困惑したD子ではあるが、D子の意思でそのうちの一人を選び付き合うこととなった。D子とその時選ばれた男子学生との交際はその後何年も続く事となる。
上記のようにダンパ会場でモテモテだったD子と私との友人付き合いは、その後もう何十年もの間遠距離にもかかわらず続いている。私にはない彼女の純粋さを今でも私は好んでいる。だから付き合いが続いているものと思われる。
そんな彼女の飾らない純粋な持ち味が、あの時“ダンパ”でモテた本当の理由だったのかもしれない。
この場合の“ダンパ”とは“ダンスパーティ”の略だが、学生ロックバンドが主催する生演奏のダンスパーティのことである。田舎の学校のため、大抵は学内の学生会館で催されていた。
当時学生バンドが好んで演奏していたのは、ディープパープルやレッドチェッペリン、ローリングストーンズ……、といったところだっただろうか。
元々無類の音楽好きでしかもダンス好きな私は、この“ダンパ”の開催情報を入手しては常連で通ったものだ。
“ダンスパーティ”と言えども、学生主催による古びた学生会館でのパーティのため、気の利いた演出等は何もなく、飲食もなく、ただ広間で生演奏に合わせて踊るだけなのだが、私にとっては我を忘れて音楽とダンスに浸れる楽しい一時だった。
この“ダンパ”、表向きはダンスパーティなのだが、その実は多くの参加者の一番の目的は言わずと知れているが“ナンパ”である。
当時の“ナンパ”と言えば男の子が女の子を“ひっかける”のが主流だった。女性は学外の女子大生の参加者が圧倒的に多く、学内の男子学生がこの女子大生を“ひっかける”ためのパーティだったと言っても過言ではない。と言う訳で、学内の女子学生の参加は至って少ないという特徴があった。
そんな中、私は純粋に音楽とダンスを楽しみたいがために(??)このダンパに参加していた。一人で参加する訳にもいかず、いつも学内の親友を誘うのだが、この親友はそもそも音楽にもダンスにもさほど興味はなく、当初はあまり気乗りしないままついて来ていた。
ところがどっこい、この親友がダンパ会場で男子学生にモテるのである。(親友の名を仮にD子としよう。) D子は当時決して女らしいタイプだとは言えず(失礼!)、本人にもモテようなどという裏心も一切ないのだが、どういう訳かモテるのだ。
そこで、当時の私はD子がなぜモテるのか分析してみた。冷静に観察してみると確かに外見は“いけてる”。秋吉久美子に似た瞳の印象的な色白の個性派美人で、体系的にも私より少し小さめだがスタイルも良い。うんうん、実は男好みがしそうなタイプだったんだ!と、私も新発見で重々納得である。
それに加えて、ダンパ会場で踊り過ぎてはいけないのだ。私のように最前列でノリノリで踊っては敬遠されてしまう。 その点、D子の場合ダンスが好きな訳ではないため、壁の花でいる場合が多い。そこを狙って“ナンパ”されているようである。 時代背景的にも“しゃしゃり出る女”は敬遠される傾向にあるような、まだまだそんな時代でもあったなあ。
そして面白いことに、モテはじめるとD子とてやはりモテることを楽しむようになってくる。最初はさほど乗り気ではなかったダンパに積極的に参加するようになった。しかも、ファッションやヘアスタイル等の外見的要素をも磨き始めた。
ある時街のブティックで、山口百恵がテレビで着ているのと同一の白のワンピースを二人で見つけた。色白のD子にとてもよく似合い、D子はそれを購入した。
そのワンピースをD子がダンパに着て行ったところ、D子を狙った男子学生二人がD子を奪い始めるではないか。困惑したD子ではあるが、D子の意思でそのうちの一人を選び付き合うこととなった。D子とその時選ばれた男子学生との交際はその後何年も続く事となる。
上記のようにダンパ会場でモテモテだったD子と私との友人付き合いは、その後もう何十年もの間遠距離にもかかわらず続いている。私にはない彼女の純粋さを今でも私は好んでいる。だから付き合いが続いているものと思われる。
そんな彼女の飾らない純粋な持ち味が、あの時“ダンパ”でモテた本当の理由だったのかもしれない。