「母親」関連のエッセイが続くが…
今朝起床一番に、私はネット通販にて郷里の実母へ「虎屋の羊羹」の特別大きな箱詰を包装紙付きで発注した。 ちょうど、我々母娘が郷里へ到着する頃に届く予定だ。
いえ、決して“腹いせ”ではない。 そうしてやったら、実際少しは実母の心理状態が良き方角へ向くかと娘心に考えたのだ。(?)
何故、「虎屋の羊羹」をセレクトしたかと言えば。
どうも、実母は昔ながらの“銘菓”が好きそうに思えた故だ。 実母が言うところの「高級菓子」の事例が、「ういろう」や「カステラ」等々、今の若き世代があまり好みそうもない菓子類だと把握したこともある。
そして「銘菓」に関しても、どうやら実母は昔ながらの“老舗”の商品を好んでいるようにも捉えた。 いえ、私がいつも実母に送付したり持参しているのも“老舗”(銀座千疋屋)ものだが。 千疋屋の場合お菓子類がすべて洋風のため、実母にとっては“銘菓”としての範疇に入らないのか?? とも考えた。
この我が判断が正解ならば、今後は「虎屋の羊羹」を贈ってやれば、実母の心も少しは解放されるかと企んだ。
それにしても、今回の実母の娘の私に対する「施設には来るな」発言は、一時の迷いや怒りなどの理由では無く、“本気度”が高かったように今になっても判断する。
一度目の電話時に、上記の「下手な手土産を持参されたら私が恥をかかされる…」云々の発言が、私が「3年ぶりに郷里へ行く」との電話をかけた“直後”に発せられたのが衝撃的だった。
あれは“本気”以外の何ものでもないと私は直感した。
加えて、「この施設は裕福な人達ばかりが暮らしている。」発言にしても、かと言って、私の晩婚を“玉の輿”呼ばわりしているのも実母だ。 私の方は決して“玉の輿”だとは思ってもいない。 両人の学業・職業経験、それに基づく価値観が一致して成り立った婚姻だ。 実生活上では、しっかり者の私の方こそが優位に立っている。 それを露知らない実母ではないはずだ。
ただ、一度目の電話にての実母の対応には、私に施設へ来て欲しくない思いに何となく“切迫感”が感じられた。 本当に施設へ来られたら困るがごとくの。
二度目の電話にその我が感覚が増強された。
その時の実母の話題テーマは、「施設長さんに辛く当たられる」だったのだが。
そんな訳があり得ない。 高齢者施設へは義母の施設も含めて頻繁に通っているが、たとえ施設長が交代しても、さすがにその人選は的を射ている。 やはり人物面で優れた人材でなければ高齢者施設の施設長は務まらないものと、私は大いに納得している。
我が実母にのみ辛く当たる?? と実母から訴えられたとしても、この海千山千の私がそんな話に耳を傾ける訳もないではないか!! そう言ったら、娘の私が信じて可愛そうだと思ってくれるとでも考えたのだろうか?
この現実こそが不憫だ…
まあいいさ。 とにかく、今回は実母の訴えを優先してやろう。
郷里へ行っても、実母が暮らす施設へは立ち寄らない。
ただ、我が実母はいつまでそうやって自分をごまかしつつ、人に嘘をつき寂しい思いをしつつ施設内を渡って行くつもりなのだろうか。 少しは、自分の落ち度や性分の悪さに気づいて校正すれば良いものを…
我が郷里への出発日には、超大箱の「虎屋の羊羹」が郷里の施設へ到着することだろう。 それを見て、実母は何を思うだろう。
東京の娘が「やっとまともな菓子折を送って来た」と思うのか、あるいは東京の娘が「腹いせして来た」と思うのか??
どっちにせよ、私の知ったことでは無い。