原左都子エッセイ集

時事等の社会問題から何気ない日常の出来事まで幅広くテーマを取り上げ、自己のオピニオンを綴り公開します。

妻であり母である貴女が “大きな過ちを抱えている” ように思えるんだけど…

2021年12月21日 | 人間関係
 久しぶりに、朝日新聞“悩みのるつぼ”から話題を取り上げよう。


 2021.12.18付 朝日新聞 “悩みのるつぼ” 40代女性による、「夫が家で飲んで騒ぎ続ける」と題する相談内容を、以下に要約引用しよう。

 40代女性だが、主人のことで悩んでいる。
 主人はいつも外で飲み深夜に帰宅していたが、コロナが流行ってからは午後9時~11時頃にほろ酔いで帰宅するし、自分の部屋でまた飲酒する。
 帰宅後は、テレビを見ながら大声で笑ったり、暴言を吐いたり。 ドアが閉まっていてもとても騒々しく、受験生の中3の息子が勉強に集中できない。
 私が静かにして欲しいと訴えたときは、「死ね!愚図のくせに、うちの家賃を払う能力もないくせに」などと言って、にらみつけてきた。 むすこが勉強に集中できないと言うと、「静かにしたらトップ校に絶対合格するんだな!それなら明日から静かにする」とふて腐れるばかり。
 息子はそのような会話を聞いて顔を歪めている。
 主人は自分のように高学歴、高収入が一番の幸せだという。 そんなセリフも聞きたくないし、反論する気にもなりません。 せめて息子の受験が終るまで、夜は酔っ払わずに静かにして欲しい。
 何か良い対処法があったら、アドバイスをお願いしたい。

 (以上、朝日新聞“悩みのるつぼ”相談内容を要約引用したもの。)



 原左都子の私事、及び私見に入ろう。

 この相談者のご夫婦、既に関係が破綻していると見受けられるのだが…
 ご夫婦間の“接点”や“つながり”が、既に完全に失われてしまっているように把握する。

 それは、中3の息子さんが受験期に入って後のことなのだろうか? あるいは、それ以前よりこの関係が始まっていたのだろうか? 相談内容からは判断不能だ。

 私事を語るならば。
 この原左都子など娘幼少の頃から、中学受験期、大学受験期、そして大学生時代の学業のサポートまで、すべて母親の私が“お抱え家庭教師”として、ほぼ毎晩厳しく指導して、それらすべてを娘本人に成就させて来ている。

 その間、亭主には自室にこもってもらい、特に中学受験期頃にはリビングの食卓にてそれを実施したものだ。

 我が家の場合も、亭主が相談者のご亭主同様に高学歴・高収入だったが。
 母親の私もそれに負けず劣らずの高学歴、そして教員経験もあったが故に、亭主側としては安心してそれを私に一任してくれたものだ。


 まあそれにしても、相談者のご亭主側からの「「死ね! 愚図のくせに、うちの家賃を払う能力もないくせに」は、確かに暴言でしかない。
 この暴言を吐かれた時点で、離婚を考慮してもよさそうなのに。
 それを実行しない相談者側にも、それを強行不能な妻側の事情があるのだろう。

 受験生の息子さんには、例えばご亭主の部屋から遠い部屋で勉強に励んでもらうとか。 あるいは、ご亭主の帰宅が夜遅いのならば、帰宅前に受験勉強に集中させるとの手段もとれるかと考察するが。
 学校にも図書室はあるだろうし、公的図書館の利用との方策も有効であろう。
 とにかく相談者の母親氏も、何らかの代替案を息子さんに提示しては如何だろうか。


 ここで、今回の回答者であられる社会学者・上野千鶴子氏の解答の一部を紹介しよう。

 相談者の貴方は、ご主人が「高学歴・高収入」であるからが理由で結婚相手として選んだのですか? そして、息子さんもご主人同様に、「高学歴・高収入」に仕立て上げようとしているのですか?
 そんなあなたの今現在の息子さんに対する期待は「高学歴・高収入」になること。 その無言の期待を、息子さんは敏感に感じ取っているに違いありません。 息子を通して夫にリベンジするのが、日本の不幸な母親の隠れた望みですから。
 夫はその母子連合を見抜いているから、嫌がらせを言うのでしょう。(中略)
 でも息子が進学しても、あなたはこの結婚生活を続けるおつもりですか?
 しかも、あなたは息子に受験プレッシャーをかけることで、言わず語らずのうちに「高学歴・高収入が一番の幸せ」という夫の価値観を、息子に刷り込んでいませんか?

 (以上、回答者であられる上野千鶴子氏の回答内容に一部を引用したもの。)



 上野氏がおっしゃる通りであろう。
 
 相談者女性が悩んでおられる事実には、同情申し上げたいが。
 ご本人自身が大きな過ちを抱えておられる事態に気付かれていない現実こそが、原左都子としても一番の不幸ではなかろうかと捉える。

 ここは親として、“息子さんの真の未来を考える”との原点に一旦立ち戻っては如何だろうか?