原左都子エッセイ集

時事等の社会問題から何気ない日常の出来事まで幅広くテーマを取り上げ、自己のオピニオンを綴り公開します。

高齢者介護施設内でのコロナ・クラスター発生に、施設も家族も地獄を見る思い…

2023年01月14日 | 医学・医療・介護
 (冒頭写真は、朝日新聞2023.01.13付記事「退院6日後 また陽性 高齢者施設『陽陽介護』も」より転載したもの。)



 新型コロナ感染拡大が留まるところを知らない現在の我が国だが。

 昨年の大晦日前日に、義理母が入居している高齢者施設より電話が入った。

 「数日前より施設内で新型コロナ陽性者が出ていますが、本日の検査で義理母さんの陽性が確認されました。 本日より自室謹慎となりまして、外へ出られなくなります。 食事やその他の措置に関してはスタッフが最小限出入りして対応します。 外部者の皆さんは当然ながら当施設への訪問はしばらく自粛していただくこととなります。」

 大晦日には、膝骨折中の私を除き 亭主と娘が二人で義理母が暮らす施設を訪問する予定でいた。 それはもちろんのこと、即刻中止にしたが。


 一番困惑させられたのは、状況が全く把握できない認知症かつ難聴の義理母本人が我が家に日々何本も電話を寄越す事態だった。
 「あのねえ。 どうしたことか、私今部屋に監禁されているの。 出して欲しいと言っても、スタッフの皆が意地悪して一歩も出してもらえないのよ。」

 義母からの電話は、嫁の私の電話での声が聞こえないという義母の訴えに合わせてすべて亭主が対応しているのだが。

 この義母からの勘違い電話が正月から毎日ずっと鳴りっぱなしだ。

 愛想が尽きる私が、「着信拒否設定しようよ!」と助け船を出しても、亭主が「いや、いい。自分が対応する」と言うのだが。

 正月からこれを丸一日続けられたものならば、私の方が頭がおかしくなりそうなのをずっと耐えて暮らした。

 結局、1月11日になって、「一応2週間が経過した」との理由で施設側が義理母を“自室隔離”から解放したようだが。


 とにかく、この義母のコロナクラスター騒動で、今年の我が家の正月は電話攻めに遭わされたものだ。


 おそらく一番大変だったのは、施設のスタッフの皆さんに間違いないだろう。
 義母の隔離中にもケアマネジャー氏が逐一我が家に電話連絡をしてきて、義母の状況を伝えてくれる。 
 我が義母の場合は、コロナ陽性反応が出たと言っても症状としては軽い風邪程度で済んだ様子なのだが。 
 他の入居者やスタッフの皆さんの感染状況が全く得られないため、今回の施設内コロナ感染に関する詳細は不明のままだ。



 2023.01.13付朝日新聞「退院6日後 また陽性 高齢者施設『陽陽介護』も」と題する記事より、一部を引用しよう。

 新型コロナウイルスの「第8波」の感染拡大が続き、死者数は過去最多を更新している。 高齢者施設ではクラスター発生が相次ぎ、退院後に再び陽性となるケースも。 国は医療支援を伴う「施設内療養」ができるよう体制整備を求めているが、実態との乖離に現場から厳しい見方が出ている。(中略)
 発端は職員の発熱だった。 陽性と分かった後、一気に感染は広まり、翌日には入居者4人が救急搬送された。 入居者の中で入院できたのは23人だった。 (中略)
 「現場は命の危機と常に背中合わせですよ。 ある施設のホーム長は重い口調だ。 病院に入院できたのは1人、後の16人は施設内での療養を余儀なくされた。 (大幅中略)
 施設現場には施設内療養の体制確保は難しいとの見方がある。 「人出のサポートがあるわけではく、医師の確保もコロナ禍で難しく、医療体制をつくるのは厳しい」と話す。

 (以上、朝日新聞記事より一部を引用したもの。)



 最後に、原左都子の私見だが。

 我が家の場合、義母も郷里の実母も高齢者施設暮らしであるが。

 郷里の実母が入居している高齢者自立支援施設の場合は “地元の大病院付属施設”である事実が効を奏して、今回のコロナ禍対応に関しても施設側への適切な指導・措置が採られているようで安心している。

 片や義母が暮らす高齢者施設は、医療機関とは全く縁が無い大手企業運営の施設だ。
 入居費用ばかりは高額なのだが、(医学経験者である私に言わせてもらうと)こと医療対応に関しては全く手薄感が否めない。
 そんな感覚を抱いていた矢先の、今回の施設内義母コロナ感染の知らせだった。

 私自身に関しては、将来的に高齢者介護施設の世話になる希望は全く無い!!のだが。

 もしも、皆様の親族に高齢者介護施設入居希望の身内の方がおられるとした場合、介護施設の選択は慎重になさることをお勧めしたいものだ。