◎大の字の両手両足が映の字を包む(大映のヘッドマーク)
ヘッドマークの話の続きである。
昨日、廉価版DVD『カサブランカ』では、ワーナー・ブラザーズのヘッドマークを見ることができないと書いた。しかし、ワーナー・ホーム・ビデオが発売しているDVD『カサブランカ 特別版』を買えば、ワーナー・ブラザーズのヘッドマークを楽しむことができる。
それによれば、この映画が作られた一九四三年当時のワーナー・ブラザーズのヘッドマークは、次のようになっている。
楯の中に、WとBの文字。その楯を巻いている帯に、WANER BROS. PICTURES INC.とある。さらに、帯より下、楯の下部に、二行に分けて、JACK L. WANER / EXCUTIVE PRODUCERとある。
ついでに言うと、この映画のエンドマークにも、ワーナー・ブラザーズの社標が出てくる。画面下方の左に、WとBの文字がある楯、その右に、三行に分けて、A / WANER BROS. - FIRST NATIONAL / PICTURESとある。ここで、FIRST NATIONALが出てくるわけである(昨日のコラム参照)。なお、廉価版DVDでは、このエンドマークも削られていて、見ることはできない。
今日、インターネットを検索すると、ワーナー・ブラザーズの様々なヘッドマークを画像で見ることができる。ワーナー・ブラザーズの楯の中に、ファースト・ナショナルの社章(円の中に、北アメリカとイギリスの地図)が組み込まれている珍しいヘッドマークを見ることもできる。驚いたことに、『カサブランカ』の冒頭を、「動画」で見ることもできる(ただし、数秒間のみ)。
以上が、ワーナー・ブラザーズのヘッドマークについての補足である。
以下に紹介するのは、『バンビブック』第九号「映画なんでも号」(一九五二年四月、朝日新聞社)の記事「映画会社ヘッドマーク集」のうちの「日本映画」の部である。図版は省略。
日 本 映 画
松竹 「松竹第一主義」という社内のスローガンによって、日本の象徴の富士山を使った。
大映 大の文字の両手両足がグッと上に回って映の字を包む雄渾な図柄として採用した。
東宝 周囲に放射する光輝は作品が七つの海に光りを放つという意味、東宝特殊技術部作。
新東宝 社内募集の当選作、ローマ字を囲む楕円は昇る太陽を象徴し、盛んな意気を示す。
東映 海岸に打ち寄せる波が終って出るのがこのマーク、三角は合併した旧三社〔東京映画配給・太泉映画・東横映画〕を表わす。
日活 大正元年〔一九一二〕にできた日本活動写真株式会社の頭文字NとKの組み合わせ、 最古のマーク。
独立映画 第一作の「太陽のない街」〔一九五四〕を出した時、急いで作ったものを二年間使っている。
「日本映画」の部の説明は、何ともアッサリしたもので、手抜きの印象は否定できない。
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