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東海放送人九条の会会報52号から

2015年04月29日 09時13分35秒 | Weblog
政府・自民党の番組介入に放送局の反応の鈍さは問題

                          代表委員 大西 五郎

首相が生出演中に番組構成に異議

昨年終盤から今年にかけて安倍首相やその側近、自民党による放送番組への介入が目立っています。
まず、11月18日に安倍首相は生出演していたTBS「ニュース23」で「アベノミクスは自分たちのところに届いていない」という街の声が紹介されたことに対して番組中に「実態が反映されていない。政権に反対する声を大きくとりあげている」と抗議しました。
首相側近が自民党担当記者を呼びつける
そしてその翌日(衆議院解散の前日)、自民党本部の部屋にNHKを含むTVキー局6社の自民党担当のキャップ記者が一人ずつ呼ばれ、筆頭副幹事長の萩生田光一衆議院議員から「選挙時期における報道の公平中立ならびに構成の確保についてのお願い」という文書を渡されました。そこには▽ゲスト出演者の選定▽街頭インタビュー・資料映像の使い方▽特定の立場から特定の政党出演者への集中がないこと、が書かれていました。

衆院選報道前回比4割減 「公平」要望も影響かと毎日新聞

総選挙後の12月18日に、毎日新聞は「NHKを含む在京地上波テレビ6局で、選挙関連の放送時間が前回衆院選(2012年12月)の同期間に比べ約4割減っていた」と報道しました。選挙期間中の6局の選挙関連の放送時間は38時間21分で、前回の61時間45分に比べ37.4%減りました。民放5局の情報・ワイドショー系番組での放送時間が大幅に減ったのが原因。選挙関連番組は視聴率がとれないとの判断に加え、自民党の“公平要請”も影響したと見られると毎日新聞は分析しています。
古賀茂明氏「政府の圧力で報道ステーション降板」発言
今年に入ってからも政権・与党による報道介入問題が続きました。3月27日にテレビ朝日の報道ステーションでコメンテーター役を務めていた元経産官僚の古賀茂明氏が番組中に、社長の意向などで報道ステーションから降板することになったこと。政権から激しいバッシングを受けていたと発言しました。テレビ朝日は社としてその事実を否定しましたが、古賀氏は番組関係者に政府関係者からメールが届いた事実があると云っています。

番組を特定して放送内容を批判

また最近判ったことですが、総選挙公示直前の同月26日に、自民は福井照報道局長名で24日放送のテレビ朝日報道ステーションについて「アベノミクスの効果が大企業や富裕層のみに及び、それ以外の国民には及んでいないかのごとく紹介する内容だった」として、放送法に則り公平中立な番組作成に取り組むよう配慮をもとめる文書を出していました(4月10日朝日新聞及び毎日新聞)。
番組の内容・構成にまで一々立ち入った干渉です。政権に対する批判が国民の間にどのように現れているかをどう報道するかは報道する側が最も適切と考える方法で表現することであって、政権党から指示されることではありません。
自民党がテレビ朝日、NHKを呼びつける
自民党の情報通信戦略調査会が4月17日に番組内容に問題があったとして、テレビ朝日とNHKの幹部を党本部に呼びつけて事情聴取を行いました。
自民党が問題にしたのは、テレビ朝日の報道ステーションで番組のコメンテーター役だった元経産官僚の古賀茂明氏が番組の中で「菅官房長官をはじめ官邸の皆さんにはものすごいバッシングを受けてきた」と発言した問題で、菅氏や自民党は事実関係を否定しています。NHKについてはクローズアップ現代で“やらせ”があったのではないかとされている問題です。
多くのテレビや新聞の記者が取材しようと集まりましたが、会議は非公開で行われました。事情聴取が終わった後、テレビ朝日の福田敏男専務取締役は「事実関係についてご説明しました」とだけ語り、NHKの堂元光副会長も「説明しただけ」と語りました。
情報通信戦略調査会の川崎ニ郎会長は「テレビ局の社内検証が不十分ならば、BPOに申し立てることも検討する」と、権力の側が放送を規制する姿勢を示しました。

放送法は本来放送局の編成・放送の自由を保障するもの

政府と自民党が放送法を持ち出して放送内容を規制しようとするのは本末転倒です。放送法には
第三条 放送番組は、法律の定める権限に基づく場合でなければ、何人からも干渉され、又は規律されることがない。
第四条 放送事業者は、国内放送及び内外放送の放送番組の編集に当たっては、次の各号の定めるとこによらなければならない。
一 公安及び善良な風俗を害さないこと。
ニ 政治的に公平であること。
三 報道は事実をまげないですること。
四 意見が対立している問題については、できるだけ多くの角度から論点を明らかにすること。
と規定されています。番組の編集にあたっての基準は放送局が自主的に守ることを前提にしており、外部(政治権力など)から強制されることではありません(第三条)。政府と自民党が放送法に基いて放送番組を規制しようとすることは言論・報道の自由を侵すことになります。

放送局側の反応の鈍さは問題

これらの政権と与党からの介入に放送局の反応が鈍いことが気になります。直接自民党から報道ステーションのことで批判されたテレビ朝日も番組で自社の立場を説明し、自民党に反論すべきですが、していません。その他のテレビ局ではTBSが「ニュース23」や「サンデーモーニング」でこの問題を採り上げて政府と自民党を批判していましたが、他の局は殆ど無音のようです(長時間の深夜のニュース番組は時間帯が重なって全部の局を視ることは不可能ですが、新聞の番組表を見てもこの問題に触れた項目が見つかりません)。
新聞は挙って政府・自民党の対応を批判
新聞は例えば自民党の情報通信戦略調査会がテレビ朝日とNHKを呼びつけた問題で、朝日新聞が「自民党の放送『介入』は許されない」、毎日新聞は「政権与党は介入を控えよ」、中日新聞は「権力と放送 統治の具と成す不見識」、日経新聞も「首かしげる番組内容の聴取」と社説で批判しています。普段は政権寄りの社説や解説の読売新聞までもが「テレビ幹部聴取、与党として適切な振る舞いか」と批判しています。産経新聞は「自民党とテレビ 番組介入は抑制的であれ」でテレビ局側も安易に介入を招くような隙を見せぬようにすべきだとしています。
放送局は同じ言論機関として新聞社の態度を見習うべきです。

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米、アジアから締め出される?  文科系

2015年04月29日 05時26分44秒 | 国際政治・経済・社会問題(国連を含む)
 中日新聞本日の社説の一つを紹介したい。この新聞を取っていない人や、東海地方以外の人々にも読んで貰いたいというのが、いつもの動機だ。見出しはこう。『和解が新たな地平開く』『経済・通貨外交』。

【 「二十年後、三十年後に米国は締め出されているかもしれない」ー。陰りが見え始めているとはいえ、唯一の超大国アメリカの大統領が今月十七日の記者会見で口にした言葉に、多くの人が驚いたのではないか。
 中国が主導するアジアインフラ投資銀行(AIIB)の実現が三月末、確実になった。これに対し、日米が主導する環太平洋連携協定(TPP)は難航している。失敗すれば米国はアジア経済圏で足場を失い、締め出されてしまうという危機感をオバマ大統領の厳しい顔が示していた。
 それにしても、経済・通貨外交でこれほどの情報収集の失敗はあっただろうか。
 先進国の参加を止めてAIIBの影響力を削ぎたい米国と日本の根回し、情勢判断とは裏腹に英国など先進国は雪崩を打って参加を表明。領土問題で中国と対立するフィリピンやベトナムも加わった。一方、領土や歴史認識での深刻な対立もあり、米国とともに取り残される形となった日本は今、参加すべきかどうか難しい判断を迫られている。
 ただ、より大きな問題は「締め出される」という米大統領の言葉が浮き彫りにした保護主義の陰ではないか。
 TPPなどの地域経済協定は、相手国を選別しない自由な貿易秩序づくりを目指しながら行き詰まっている世界貿易機関(WTO)の補完と位置付けられている。
 そのTPPが日米によるAIIBへの対抗策、中国包囲網に変質すれば、中国も検討中のアジア太平洋自由貿易圏(FTAAP)で対抗し、自由貿易の理念とは逆の地域主義や保護主義、新たな紛争につながりかねない。
 この分水嶺ともいえる時期に日本はどんな役割を果たせるのか。同じ敗戦国のドイツは、戦後の長い年月を費やして周辺国との和解を進め、欧州の経済統合を主導している。
 成長するアジア経済圏で対立を避け、自由で安定した経済秩序をつくるために、日本は先ず中国、韓国との関係を改善し、周辺国との和解を通じた経済外交に取り組むべきではないか。和解と信頼なくしてアジアに新たな地平を開くことはできない。】

 大累積借金の国家財政・日本。国家も家計も大赤字のアメリカ。この二つの国が、そういう困難からこそ近年、アジア通貨危機や「100年に一度の大破綻」リーマンショックで、他国の顰蹙を買ったとも言える。その信頼を取り戻すのは容易なことではない。全ヨーロッパがAIIBに走った背景には、そんなこともあったはずだ。アメリカの引き締めから金利上げへ、日本の三本の矢の失敗から官製バブルもこれに重なってきた。そこへAIIBと、さらにこの後にはBRICS銀行の動きも控えている。八方ふさがりのこの日本が、お隣の中国や韓国と喧嘩していてどうするのかと、そういうことだろう。
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随筆紹介 「ナンパ」   文科系

2015年04月29日 05時10分40秒 | 文芸作品
 ナンパ   S.Yさんの作品

 ショッピングセンターで婦人服のバーゲンセールを覗いていたときのことである。
「奥さん、ええやないの。よう似合うとるわ」男のだみ声がした。声のほうを向くと、お婆さんが胸の前に服を広げて鏡の前に立ち、その横で爺さんが話しかけている。婆さんも「そうかね」と、まんざらでもなさそうだ。「奥さん、いくつやね? 七十八、そりゃあ、わしより大分若いで、もっと派手な服でもいいぜ」ふたりとも笑顔だ。
 じきに私はその場を離れたので、その先のことはしらない。ただの世間話だったのかも。

 独居の年配者が増加の一途をたどっているというご時世。家に籠もっていたら誰とも話さなくて一日が終わることもあるだろう。掛かってきた電話がたとえセールスでも、つい寂しさに話し相手となって心を許し、詐欺まがいにあうかもしれない。
 私だって人ごとではない。三十年ばかり前、見知らぬ今の地へ引っ越してきたはなに、心細さからたまたま訪れた証券会社の女性に気を許し、有り金の大半を投資したことがあった。もちろん大損をした。

 知り合いに老人ホームや施設で「傾聴ボランティア」をしている人たちがいる。何度も同じ話を繰り返し聞くことは、家族や身内ではなかなかできないことなのだろう。偉い作家や評論家の先生たちは、老いたら孤独と付き合う覚悟をしなさいというが、わかっていても寂しいものは寂しい。話し相手はいたほうがいい。人は誰かと関わっていたいもの。私だってまもなく仲間入りだ。
 そんなことを思っていると、ほんとによく中高年のナンパを目にするようになった。
 鉄道関係のウォーキングに参加をすると、私を含めてひとり参加者が多い。先日もゴール地点で休憩しようとベンチに近づくと男性が来た。私はその人に席を譲って近くの他のベンチに腰を下ろした。気配でその男性の隣に女性が座ったようなので、〈ご夫婦だな、席を譲ってよかった〉と思っていたら、「おひとつ、いかがですか?」女性が男性に何か器を差し出した。「やっ! これは……。じや、遠慮なく」男性は驚いたようだったが、果物をつまんで食べだした。会話から、あきらかに初対面の中年(初老)同士だった。これは女性からだから逆ナンパか? 勝手にいろいろと想像するのは楽しいものだ。

 今までに映画館や美術館の前で、「チケットが余分にあるのでご一緒しませんか」と初老男性に声をかけられたことはあった。人と一緒なのがわずらわしくて、ひとりになりたくて来ているのでお断りした。でも今思うと、男性のほうが寂しい人が多いのかもしれない。中高年でも一緒に映画を観たりお喋りしながら食事をしたいのかも。
 面白いご時世になったものだなあ。
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