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日米外交、一つの転換点・・・(2)   文科系

2015年04月05日 00時02分53秒 | Weblog

(2)冷戦後の「米最大の脅威」日本経済力に対して

 このことについて孫崎は以下のような象徴的例などを挙げていく。
 一つは、ニューヨークのロックフェラーセンタービルが89年に三菱地所に買収されたこと。そして、コロンビア・ピクチャーズがソニーに買収されたこと。当時のコロンビアは米国文化の華である映画会社において、ロックフェラーセンターと同様に名門中の名門であった。また米国産業の中心である自動車と鉄工業も日本に追い抜かれていたのだと、孫崎は解説を加えていく。

 併せて、孫崎のこの書にはこんな1991年のある世論調査結果が記載されている。シカゴ外交評議会の「米国にとっての死活的脅威は何か」という以下四項目の選択調査である。「日本の経済力」、「中国の大国化」、「ソ連の軍事力」、「欧州の経済力」。この四つの順位が、一般人では多い方からこの通りで、60,40,33,30%となっているが、指導者層はちょっと違って、こうである。63,16,20,42%。つまり指導者層内部では、こんな結論になったと言えるのだ。これからのアメリカ、怖いのは他国の軍事力などではなく、その経済力の方がよほど怖い、と。軍事スパイ機関のはずのCIAが、以降対ソ諜報から日欧経済スパイ機関の様相を強めていく背景はこんな所に求められると、孫崎は述べている。
  こうして、冷戦後のアメリカには、こんな意見も多かったという。軍事力を半減したその力を経済に回し日本に対抗せよと。しかしながら、結局は軍事力を維持増強し、世界の覇者となる道を選んだと、孫崎は述べていく。ちなみに、マクナマラ元国防長官のこんな上院予算委員会発言をも紹介している。
『ソ連の脅威が減少したいま、3000億ドルの国防予算は半分に減らせる。この資金は経済の再構築に回せる』

 さて、軍事力維持強化、世界の覇権の道を選んだとすると、経済的脅威・日本にはどう対していったのか。アメリカの片棒を担がせ、そこに金も使わせることによって日本経済を発展させないようにするという道なのである。併せて、世界経済に対しては、マネーゲーム収益第1と現になっていった。日本企業の株主になるなどの道である。
 「ならず者国家」と呼ばれたイラク、イラン、北朝鮮などと戦うべく、日本が応分の負担をせよということが第1で、マネーゲームでもいろんな日米共闘をしていくということだ。前者の例がこれ、91年に始まった湾岸戦争で日本が130億ドル負担してもなお「あまりにも遅すぎ、少なすぎ。人も血も、出せ」というようなものだ。この道は次いで、イラク戦争への協力、参戦へと繋がっていく。マネーゲームでは、世界に次々と通貨危機を起こした。94年メキシコ、97年アジア、98年ロシア、99ブラジル、01年トルコとアルゼンチンなどである。

 この後の20年、日本が先進国では唯一名目経済成長率がゼロとなった原因がここにあったのかと、僕などは改めて振り返っていた。

(続く)

 

コメント (17)
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