12日エントリー「黒田バズーカ」で、これは財政ファイナンスだと言われている書いた。だとすれば、近い将来に何が起こるか。まず、この言葉自身の解説をもう一度。
『財政ファイナンスは、「国債のマネタイゼーション(国債の貨幣化)」とも呼ばれ、国(政府)の発行した国債等を中央銀行が直接引き受けることをいう。これは、中央銀行が政府に対して、マネー(資金)をファイナンス(供給)するという意味であり、政府の厳しい財政状況において、財政赤字の拡大や穴埋めの支援策として、中央銀行が直接協力することを意味する。
一般に財政ファイナンスを行うと、その国の政府の財政節度を失わせると共に、中央銀行による通貨の増発に歯止めが掛らなくなって、悪性のインフレを引き起こす恐れがあり、そうなると、その国の通貨や経済運営そのものに対する国内外からの信頼も大きく損なわれるため、先進各国では、財政ファイナンスを制度的に禁止している。』
この説明を簡単に言えばこういうことだろう。政府支出を何年も何年も、ばかばか増やす。ただでさえ膨大な国家累積赤字を埋める謝金証書、国債を出し過ぎているのに、その国債を中央銀行自身が買って、その分紙幣を供給する。「足らないから金くれ」と中央銀行に言うと、中央銀行がばかばか紙幣を増刷するということだ。多すぎる国債が中央銀行に貯まって、プラスどんどん多くなる紙幣と! こんなことを続けたらどうなるのかということだろう。普通はこう言われてきた。
まず、国債の信用が無くなって、誰も買ってくれなくなる。その利子を上げても売れなくなってくる。こういう緊急事態の時にこそ普通は中央銀行が国債を一時買い入れるのだろう。ところが、黒田日銀がその時までどんどん国債を買っているということだから、さらにこれを買うために紙幣を刷るということになると、今度は円がどんどん安くなって超インフレになるというのである。それを止める手段を既に前倒しして使い果たしているということだろう。
「最後の貸し手が最初の貸し手になっている」と識者から指摘されるのはそういったことだろう。必要な時に最後の貸し手がいなかったら、バブルが弾けた時にはどうなるのだろうか。それも、今の日本の株高は、官製バブルというとんでもない代物に成り果てているのだ。つまり、リーマンのようなショックが必ず来るのである。有効需要が無く、失業者、不規則労働者が溢れた世界的な実態経済大不況の中で「アベノミクス3本の矢」も頓挫し、その上にこういう同じやり方を使い尽くしたアメリカの強要もあって、苦し紛れの禁じ手、強硬手段。行く先は誰にも分からない、未知の領域ということだ。