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ニシノジャパン(14)ゲーゲンプレスなど、得点戦略  文科系

2018年06月04日 23時15分14秒 | スポーツ
 前回、得点戦略というものを述べた。例えばザックのこれが、その一例。
「相手ゴール前の守備陣形を縦横に広げておいた上で、速く攻める」
 このためにこそザックは、身方前陣に常にこう命じていた。
「ワントップは深い位置を取って、敵陣を縦にばらけさせよ。ウイングはワイドに開いて敵を横に引きつけよ」
 一方のワイドが敵を引きつければ、他方のサイドが空く理屈で、ガーナ戦を振り返って柴崎がこう語っていたという、そういう攻撃法なのである。以下の柴崎の言葉は、前回第13番のコメントに付けたものだから、そこもご参照願いたい。
『「クロスの位置が良かった時や、ワイドの選手がファーに入ってきて打つか折り返した時は良い崩しが出来ている」と柴崎が語るように良い状態でセンタリングが入った場合や、逆サイドの選手がゴール前に入り込んでいる時に相手を慌てさせた』
 こういう敵陣を乱す戦略抜きにただ身方にこう命じるだけのような得点法は無意味である。ただ「攻撃のオートメーション」と言ってもそもそも、敵DF陣に対して身方の数的優位作りなどは何も含まれていないのである。


 さて、ゲーゲンプレスと呼ばれたものも実は、敵陣をばらけさせるこういう攻撃法の一つなのであって、この画期的な得点法以降にはこれの変形が無数に生まれることになっていく。そういう広義の意味を持ったゲーゲンプレスという得点法をもう一度解説しておくとまず、創始者ユルゲン・クロップはこの戦法の最大の意味、着眼点をこう語っている。
『敵陣に攻めて入った身方ボールを敵が奪って前掛かりになった瞬間こそ、敵陣が最も無防備になっている時だ。ここでもし敵ボールが奪えればゲーム中最大の身方得点チャンスができる』
 こういう着眼点から生み出されたゲーゲンプレスは、こんなやり方になる。ボールを奪って前掛かりになった敵に対して、DFも含めた身方陣は一斉に前に詰めてボールを奪いやすいコンパクトな陣形を取っていく。ちなみに、ゲーゲンとはドイツ語であって、英語のカウンターパンチのカウンターと同義語。相手が出てきた瞬間にこちらも前へ詰めるからカウンターなのだ。やりかたは先ず、敵ボール保持者手前最も近い身方が、ボール保持者のボールを奪いに行く。その他の身方はやや前方などの相手選手へのボール保持者のパスコースをふさぎに行く。近くにパスコースをふさげる敵がいない身方は、近い敵のボール受けを妨げに走るなどである。こんなやり方で、乱れた敵ボールを奪うことも含めてボール奪取に成功すれば、そのまま薄い敵ゴール前へ身方が殺到できて、数的にも有利になりやすいという理屈、得点法である。
 そして、こんなやり方でドイツの世界的クラブ・バイエルンを何回も退けた弱小チームがCLベスト2などという大成果を上げたのであれば、このやり方の後に続くいろんな発想が出て来るのも当然。たとえばこんな例もある。
① 敵の誰からボールを奪いやすいかを徹底的に研究して、その人間がゲーゲンプレスの主対象になる。潰しは強いが視野が狭いとか、パスが下手とかいう(守備型)選手がこの対象になる。彼からボールを奪えなくとも、苦し紛れのような流れたパスを身方が拾う理屈である。
② 例えば原口がそうだが、対面する相手のボールキープ癖、弱点をゲーム中にもよく観察していて、原口1人でゲーゲンプレスを実現していく決定的な時を後半にいくつも作ってしまう。
③ プレスに走り回れる前の選手は、多少得点力に欠けても使われることにもなる。逆に、前の選手としてあれほど上手い宇佐美がドイツで低い評価になるのも同じ意味なのではないか。

 こうして、スペインのアレッティとかプレミアのレスターの急台頭や、岡崎など前からプレスを掛けられる選手の高評価やなども起こって来る理屈だ。ハリルがデュエルを重視したり、プレスに弱い前の選手を嫌ったのはそんな理由があろう。現日本代表にハリル的メンバーが選ばれたのも、代表首脳部が一応こういう世界傾向に通じているからだとも観た。中島、久保、浅野、森岡が落ちたことにも、こういう傾向への判断が絡んでいるのではないか。いずれも、ドイツ主要チームとは戦う機会が少なかったチームの選手たちに見える。

最後に、このシリーズ第5回目に以下のように城福監督の言葉を別コメントから転載したが、今年の広島の大躍進にも明らかにゲーゲンプレスの取り入れが関わっている。

【 今年の広島 (文科系)2018-05-09 19:01:56
 今年の広島は、得点も多いけど、それよりも1ゲーム当たりの失点が、0・5以下である。こういう躍進の原因のひとつに、明らかゲーゲンプレス(的発想)の取り入れがある。以下は、城福監督の言葉だが、
『例えば、トランジションの速さというのは高いレベルのベーシックなんだけれど、敵陣でボールを奪われて、ボール周辺の選手がプレスやスペースを埋める方法を間違えて、全員が自陣に50メートル帰る羽目になったシーンを映像で見せる。逆に、奪われた選手の切り替えやディフェンスラインの事前の押し上げによって奪い返して、ショートカウンターを繰り出したシーンも見せる。それで、「どちらがチームにとって有益だと思う? ここで3秒頑張ったり、事前に準備をしておくことで、帰陣に使っていたエネルギーを攻撃に使おうよ」と』

 この全体がゲーゲンプレスの考え方だが、中でもここが重要だと愚考した。
『ここで3秒頑張ったり、事前に準備をしておくことで、帰陣に使っていたエネルギーを攻撃に使おうよ』】
コメント (3)
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