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要を得た「政教分離」論、日本は?   文科系   

2022年08月26日 21時06分39秒 | Weblog
 朝日新聞26日の第13面「オピニオン」面下段に載った神里達博千葉大院教授の「政教分離から考える日本社会 『世間』に人権思想はあるか」を、ここのところの問題が短いながらよく整理された論文としてお勧めしたい。専門が科学史、科学技術社会論なのだそうだが。いつものように「」内は本文抜粋を示す。

・「政教分離」が問題になっているが、これの国家先達はフランス。「フランスでは信教の自由を守ると同時に、反社会的な活動をする団体を規制する法整備が進んだ。これを『反セクト法』という」

・「セクト」、つまりカルトの線引きは難しいが、フランスではこういうものだ。「『その活動に参加する人の精神的または身体的依存を作り出し、維持し、利用することを目的または効果とする活動を行うあらゆる法人』と定義し対処することとした」。このようにフランスがカルトに対して行ったのは、人権の侵害は許さないということ、日本もそうすべきだろうが、ここで重大難問が生じる。

・日本の「世間」に人権思想は存在するのか? 仏カルト法で裁くのが宗教自体の「前近代的な非合理性」などではなく、「人権侵害」なのだと今一度強調したうえで、日本に人権思想があるかと以下を付け加えている。

・日本でこれに代わるものとしては、日本人論で有名な山本七平の「日本教」を思い出す。「人を中心とし、状況依存的な『空気』を教義とする思想」のことだ。そして、ここから結論。

「日本での『正しさ』の基準は、結局のところ神でも科学でも法でもなく、『世間の風向き』なのかもしれない」
「人権を尊重する法治国家とはどういうものなのか、もう一度根底から考え直す機会とすべきではないか」


 最後に、以上につき、僕の感想を一言。安倍にしても桜井にしても、人権と法を語って最も有名なのはこんな言葉だろう。
「日本国憲法には人権ばかり書いてあって、義務はおざなりのようにだけ触れている」
 この言葉は笑い話にしかならないものであって、何よりもまず、憲法のすべての人権に『公共の福祉に反さない限り』という総論的別項の縛りがある。加えて、近代憲法というもののもともとが「単なる国民の大きなお約束」などではなく、「為政者は国民の人権を守れよ」として、その人権を羅列したものだ。近代憲法成立史上勝手なことをしがちだった為政者に対してこそ作られた縛り、立憲主義と呼ばれたものと学んできた。
 今の自民党が、これを単なる国民の大きなお約束にしようとし、このお約束に為政者主導でいろいろ入れるべきと大きな方向を転換しようとしているのである。安倍の検事総長新人事(閣議決定)が、歴代検事総長らから「ルイ14世」という批判文書が上がってわずか三日で取り下げられるという事件が起こったが、憲法やその柱・三権分立も、人権柱も分かっていないか無視して良しとした大きすぎる証拠になっている。
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