軍隊を持たない国 １ へそ曲がり

★軍隊を持たない国　１★

　軍隊を持たない国は、世界では、ヨーロッパ、南太平洋、中米・カリブ海に集中しています。
　ここでは中米・カリブ海を中心に、５回に分けて、次のことを紹介したいと思います。（週刊金曜日　５／２・５／９合併号　　前田　朗）

①　ドミニカ
②　グレナダ
③　セントルシア
④　セントビンセント・グレナディンズ
⑤ セントクリストファー・ネビス
⑥　バナマ
⑦　コスタリカ
⑧　世界の非武装憲法
⑨　軍隊廃止の理由
⑩　なぜいま軍隊のない国か


①　ドミニカ・・・クーデター未遂で軍隊解散

　ドミニカは火山性の島で山が多く「エデンの園」と呼ばれるほど自然が豊かである。ドミニカ共和国とは異なる。
　１４９３年、コロンブスが到着したのがドミニカと西欧の出会いである。東カリブ地域にはカリブ族がいたが、植民地時代に大半が殺害された。カリブ族はドミニカに３，０００人か生存するのみである。
　１８０５年、イギリスの植民地となった。砂糖プランテーションが開拓され、先住民族殺戮後にアフリカから奴隷を連行して働かせた。ドミニカに限らず、西インド諸島に共通の歴史である。
　ドミニカは独立時には軍隊を保有していたが、その後廃止した。１９８０年総選挙自由党が圧勝し、でチャールズ政権が成立した。チャールズ政権はただちに内政改革に乗り出し、工業化にも着手した。
　不満を持ったジョン前首相は軍部に支持を求めた。ジョン前首相と連携した一部の軍人が、８１年２月、各地で反政府活動を進め、抵抗する市民を誘拐・殺害した。８１年３月、クーデターが仕組まれたが事前に発覚し、ジョン前首相、軍指揮官などが逮捕された。
　軍部が政治に関与しクーデター未遂を引き起こしたので、政府は軍隊解散を宣言した。国会で軍隊解散法案が採択され、ドミニカ国軍は廃止された。