テストで点を取るための勉強と、そもそもその学問、その教科を極める学問とでは、自ずとその質は違います。
私たちは学習塾ですので、主として生徒達がテストで良い点を取るための(ある種即物的な)勉強に力を入れることが多くなります。 そのために日々の授業で心がけていることは、 教える内容を熟知している私たちの知識を開陳するのではなく、 目の前に座る生徒たちの理解に教える内容を直結させるために、 講義や解説のスピードや言葉遣いに 強弱や緩急をつけ、変化に富んだものとしながら、相手の印象にとにかく強く刻印出来る話の進め方をいかにうまくコントロールするか、の諸点です。
今、ウチにはいませんが、 ルーキーの講師は、往々にしてこの点を忘れ、或いはこの点を失敗してしまい、ともすれば いかに自分がこれ(教える教科のその回の単元)を知っているかを滔々と述べるだけで 何かを教えたつもりになって、それで満足してしまいがちです。
そこには、肝心の生徒たちの理解度を推し量り、常にそれを引き上げ続けるという最重要課題を講師の側が二の次にしてしまうことで、生徒自身が伸び悩んで自信を失うという最悪の場面が待っていますし、そうなると生徒からの信頼も急速に色褪せて、講師としての隘路に自ら迷い込んでしまうという負の連鎖が起こります。
こうした意味で、 私たちが 生徒に対して授業を行うということは、その一回一回が本当に真剣勝負です。 正直なところ、授業をして 本当に満足の出来であったと思えることはそうそうあるものではなく(全くないわけでは勿論ありません)、 多くの場合、あそこはこうすればよかった、 ここもこんな風に説明すればなおよかった、などと、様々な反省が心の中を飛び交います。そうした反省の上で積み重ねる努力や工夫は、まさにエンドレスです。