たんぽぽの心の旅のアルバム

旅日記・観劇日記・美術館めぐり・日々の想いなどを綴るブログでしたが、最近の投稿は長引くコロナ騒動からの気づきが中心です。

『木靴の樹』シナリオ(5)

2015年03月26日 20時36分16秒 | 映画『木靴の樹』

1990年公開映画パンフレット(フランス映画社発行)より引用します。

町、クルナの農園(昼)
 
 女が3階から次々と洗濯物を投げる。注文とりに来たルンクの後家さんの長女のテレジ―ナと次女のアネッタが、手押車に積んでいく。

女「土曜までにと頼んでよ」




 姉妹が手押車を押していると、突然表通りが騒がしくなる。

 男達の声「つかまえろ!(姉妹に)中に入ってろ!馬が逃げたぞ!」

 門の陰に隠れた2人の前で、あばれ馬が捕えられ、男達によって連れ戻される。


村道

 汚い水たまりの道を、姉妹がゆく。

アネッタ「テレジ―ナ、私も乗せてよ」

テレジ―ナ「いいわ、代わりばんこよ(妹を手押車に乗せる)」オルガン曲<片足は墓穴にありて我は立つ>、静かに流れ出す。

アネッタ「いいわ、数えなさい」

テレジ―ナ「1、2、・・・49、50」

アネッタ「大へんだわ、あたしの番ね」

 村の道で、アネッタは姉と交替する。

アネッタ「あんたの方が重いから、40数えるまでよ」

 よろよろと手押車を押すアネッタはしかし、姉の重さに耐えかねて、洗濯物をひっくり返してしまう。怒るテレジ―ナ。

アネッタ「私には無理よ!」

テレジ―ナ「みんな落としたわ。(仕方なく)私が押すわ」

農園わきの小川

 ルンクの後家さんは、洗濯で生計を支えている。ベッティーナに赤ん坊のお守りをさせて、
小川のほとりで汗まみれで洗濯物を揉んでいるところへ、娘達が手押車でやって来る。」

テレジ―ナ「クルナのおばさんが、土曜までにだって」

ルンクの後家さん「そんなに洗いきれないわ」

テレジ―ナ「土曜までよ」

ベッティーナ「(姉達に)きれいな石ころを拾ったわ」

 泣き出した赤ん坊を姉達があやす。

ルンクの後家さん「(テレジ―ナに)赤ん坊を頼むわ・・・おじいさんを見に行ってね。
 ピエリーノに手伝うように言ってよ」


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