たんぽぽの心の旅のアルバム

旅日記・観劇日記・美術館めぐり・日々の想いなどを綴るブログでしたが、最近の投稿は長引くコロナ騒動からの気づきが中心です。

1979年映画『テス』

2022年10月28日 14時23分16秒 | ミュージカル・舞台・映画
1979年 フランス・セザール賞グランプリ受賞
ナスターシャ・キンスキー
ピーター・ファース/レイ・ローソン
監督・脚本 ロマン・ポランスキー
撮影 ジョフリー・アンスワース
音楽 フィリップ・サルド


 すべてはある春の夕暮れに始まり、やがて秋の夜明けに終わりを告げる。舞台はマーロット。ヒースの花咲き乱れる、イギリスはドーセット州にある美しく、小さな村である・・・。

 ヨーロッパ映画復活の期待をになって、超一流のスタッフによって製作された「テス」はみごと、その重責を果たして、今、日本に上陸しようとしているところだ。

 テスーテス・ダービフィールドという美しい、まだ少女といっていいほどの無垢な女性の真実の愛を描いた19世紀の作家、トマス・ハーディの原作は、その規模とデリケートさにおいて、「風と共に去りぬ」と比較されるほどに全世界にたくさんのファンをもっている。

 いつの世にも変わらない、真実の愛、心の愛を求めて、ある時は歓びに震えある時は哀しみに沈む、そのヒロインの心情にみんなが打たれるからである。

 テスは静かなマーロットの村では誰もがふり返るほどの美しい少女だった。彼女の家柄はさかのぼると貴族の名門なのだが、今は零落して貧しい行商人である。

 その彼女が隣村の豪農、ダーバビル家に雇われたのは、貧しい家計を助けるためだった。しかしその家の息子、アレックは彼女に一目惚れし、強引に言い寄ったあげく、テスは妊娠し、やがて出産する。しかし子どもは間もなく死んでしまう。

 故郷に帰ったテスは過去を忘れ、新しい人生に踏み出すが、その時、彼女の前に姿を現わしたのはエンジェルという物静かな青年だった。二人はやがて恋におち、結婚の約束をする。テスはエンジェルとの新生活で、今度こそ、別の人生を送れると思ったが、心配の種は、アレックとの過ちのことだった。

 新婚初夜、心から彼女を愛しているエンジェルに、テスは過去を告白するかどうか悩む。

 しかし潔癖な心のテスは思い切って告白するのである。

 それをうけたエンジェルのショックと動揺。やがてアレックをまじえた3人の運命が、この夜を契機に大きく変わっていくのである。

 **************

 一人の女と二人の男が、愛という情念を軸にしてクルクルまわる。しかしそこから浮かびあがってくるのは、運命に逆らって自分らしく生きようと愛を貫いたヒロインのテスが結果として悲劇をえらんでいくという女性のはかなさであるー。

 そのヒロインを演ずるのは新人ナスターシャ・キンスキー。「今のままでいて」ですでに一部には熱い注目を集めてはいたが、この作品ではみご華を開いた。バーグマンの再来とまでいわれ、いまヨーロッパからアメリカへ出演依頼はひきもきらない。久びさの大型新人である。日本でも人気爆発はまちがいないところ!

 監督はロマン・ポランスキー。故シャロン夫人の熱心な勧めと、本人の強い意志によるものである。華麗な映像は「2001年宇宙の旅」や「キャバレー」のジョフリー・アンスワース。音楽は「夕なぎ」のフィリップ・リルド。

 フランスのアカデミー賞といわれるセザール賞の作品、監督、両賞を受賞した折り紙つきの名作。








この記事についてブログを書く
« 「黙食」の始まり | トップ | ミュージカル『モダン・ミリ... »

ミュージカル・舞台・映画」カテゴリの最新記事