日航が9月19日に再上場することが決まったが、国会ではこれを民自政党の政争の具にしよとする動きが見られる。再建にはリストラで多くの解雇者が出、かつ3500億円の税金まで投入している。予想以上に再建が早期になされたのは残された従業員と引き受け手がないなか経営を引き受けた稲森氏の努力が評価されてしかるべきだ。
日航の経営がおかしくなったのは、政治が経営に介入し、利益誘導で建設した地方空港に採算を度外視した路線を日航に引き受けさせたことが要因の一つだ。現在でも日航の地方路線は22も有り、全日空の6に比し多い。再上場すれば企業再生支援機構が保有する日航株の96%を処分でき、税金投入は一気に回収できるどころか3300億円の利益まで皮算用出来る。
自民党三原議員が国会で4%分の株主を明らかにしろと追及していたが、再建会社の株を買うというリスクを取った株主を避難することは資本主義である以上おかしい。倒産した日航の株が無価値になったことを考えると、再建会社日航の株を買うというのは大きなリスクで、私だったら買わない。
日航の2012年4~6月期連結決算は、営業利益が前年同期比83.1%増の314億円と、4~6月期としては過去最高と順調だったことから過去の繰り越し欠損金との相殺は止めて法人税を払えという難癖を付ける向きも有るが、これは税制上の問題で日航だけに止めさせることは法治国家としておかしい。多くのメガバンクがそれを利用して税金を納めてこなかったが非難されなかった。
再建後の日航便を昨年ドイツとの往復に利用したが、食事も良くなり、キャビン・アテンダントのサービス応対ぶりも格段に良くなった。日航の経営には利益誘導政治からの独立が強く求められる。