行雲流水

阿島征夫、一生活者として、自由に現代の世相を評す。時には旅の記録や郷土東京の郊外昭島を紹介する。

原発、もう一つの重い選択

2012-08-14 15:36:32 | Weblog

本日の報道で、経済産業省は来年度予算の概算要求に、原発から出る使用済み燃料を地中に直接埋める「直接処分」の研究費を初めて盛り込む方針を固めた。これまで取ってきた使用済み燃料をすべて再利用する「全量再処理」路線を見直す可能性が高く、原発依存度ゼロにしてもこれまで溜まっている膨大な使用済み核燃料をどうするか大きな選択をする重要な時期となる。

全量再処理には核燃料リサイクルのため、再処理工場でウランとプルトニウムに分離をしなければならないが、六カ所再処理工場の完成が2009年2月の予定が相次ぐトラブルで18回も延期され、予算は7900億が2兆円を超える事態となっている。この再処理をしなければこの工場自体が必要なくなる。

かつて、私は1980年代後半、日本がどういう選択をするべきか欧米各国の再処理政策を現地におもむき調査をした経験がある。再処理路線ではフランスのラアーグ再処理工場(日本の六カ所再処理工場のモデル)、直接処理では米国のユッカ・マウンテンの処分場を見てきた。日本はリサイクルの必要性から膨大な投資が必要な前者を選択したわけだが、技術的な壁に突き当たっているし、東京電力福島第一原発事故を受け、この政策を見直さざるをえなくなった。

米国での直接処分はネバタ砂漠の核実験場の中に穴を掘り処分し、管理するという簡単な方法だが、万が一にも放射性廃棄物がもれないように管理をすることが重要だ。今回の原発事故でも放射性物質が遙か遠いところまで運ばれ、線量の高いホットスポットが出来てしまう原因は水が放射性物質を運び、溜まることにある。砂漠のようなところが最適だが日本にはない。

とりあえずは六カ所再処理工場内にある廃棄物処理センターや既存の原発敷地内に貯蔵するにしても最終的には人間が未来永劫に管理貯蔵する施設を建設せざるを得ない。そして何時になるか判らないが将来、人間の英知で核燃料廃棄物が再利用される可能性も残せるわけだ。

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